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Jazz Standard — 1967

What a Wonderful World

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ホワット・ア・ワンダフル・ワールド

作詞・作曲Bob Thiele & George David Weiss(ボブ・ティール & ジョージ・デヴィッド・ワイス)
制作年1967年
初演ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)、1967年録音・リリース
キーF長調(F Major)
拍子4/4拍子 32小節 AABA形式

「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」は、1967年にルイ・アームストロングが録音したバラードで、ジャズ史上もっとも愛された歌のひとつです。作詞・作曲はボブ・ティールとジョージ・デヴィッド・ワイス。当時のアームストロングは66歳、ベトナム戦争の激化やアメリカ国内の人種対立が深刻だった時代に、この穏やかな歌は世界中の人々の心に静かな光をともしました。イギリスでは発売直後にヒットチャートの首位を獲得しましたが、アメリカでのヒットは1988年の映画『グッドモーニング、ベトナム』への使用をきっかけに遅れてやってきました。「サッチモ」の愛称で親しまれたアームストロングのしわがれた声と、緩やかなオーケストラの伴奏が絶妙に溶け合い、老境に差し掛かった巨匠の人生観がにじみ出る唯一無二の名唱として、今なお色あせることなく聴き継がれています。

歌の情景・意味

歌い手は、街路に咲く赤いバラ、緑の木々、友人たちが握手を交わす姿、そして生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声——そんな当たり前の日常の光景を、ひとつひとつ丁寧に拾い上げ、「なんて素晴らしい世界だろう」と呟きます。空に浮かぶ青と白の雲、澄みわたった夜空の虹、子供たちの成長を見守る喜び。何か特別な出来事があるわけではありません。ただ、目を向ければそこにある美しさ——それを愛おしいと感じる心こそが、この歌のすべてです。戦争や争いが絶えない時代にあえて「世界は素晴らしい」と歌う姿勢には、諦めではなく、深く静かな人生への肯定があります。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

I see trees of green, red roses too
I see them bloom for me and you
And I think to myself, what a wonderful world

I see skies of blue and clouds of white
The bright blessed day, the dark sacred night
And I think to myself, what a wonderful world

The colors of the rainbow, so pretty in the sky
Are also on the faces of people going by
I see friends shaking hands, saying, "How do you do?"
They're really saying, "I love you"

I hear babies crying, I watch them grow
They'll learn much more than I'll ever know
And I think to myself, what a wonderful world

Yes, I think to myself, what a wonderful world

キー:F長調(F Major) 形式:AABA(各8小節、計32小節)
穏やかなトニックからサブドミナントへの動きを軸にした、非常にシンプルで歌いやすい進行です。ジャズ初心者の方でも取り組みやすく、コード同士のつながりが自然で耳に馴染みやすいのが特徴です。

A セクション(1〜8小節)

F
Am
B♭
Am
Gm7
F
F7
B♭
B♭m
F
Dm7
D♭7
Gm7
C7
F
C7

▶ ポイント:Fから始まりAmやGm7を経由してB♭へ進む動きは、「I → iii → IV」という自然な流れです。B♭mというマイナーコードが一瞬現れることで、曲に穏やかな影と深みが加わります。最後のGm7→C7→Fは「ツーファイブワン」と呼ばれるジャズの定番進行で、曲を安定した着地に導きます。

B セクション(ブリッジ・17〜24小節)

B♭
C7
F
F7
B♭
C7
Am
Dm
Gm7
C7
F
C7

▶ ポイント:ブリッジはB♭(サブドミナント)から始まることで、それまでのAセクションとは少し違う明るい開放感が生まれます。「虹の色彩が空に浮かぶ」という歌詞の情景にぴったりの、伸びやかな和声の動きです。最後はGm7→C7でAセクションへ戻るお決まりの転回点。このシンプルさがこそがこの曲の懐の深さです。

Bob Thiele & George David Weiss ボブ・ティール & ジョージ・デヴィッド・ワイス

ボブ・ティール(1922〜1996)はアメリカのジャズ・プロデューサー兼作曲家。インパルス・レコードのプロデューサーとして、ジョン・コルトレーンをはじめ多くの名盤を手がけた人物です。ジョージ・デヴィッド・ワイス(1921〜2010)はブロードウェイやポップスで活躍した作曲・編曲家で、「カント・ヘルプ・フォーリング・イン・ラブ」など数多くのヒット曲を残しました。ふたりはアームストロングのために「世界の美しさを平易な言葉で歌う曲」を書き、結果としてポピュラー音楽史に残る名曲を生み出しました。