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Jazz Standard — 1927

Thou Swell

お気に入り

ザウ・スウェル

作詞Lorenz Hart(ロレンツ・ハート)
作曲Richard Rodgers(リチャード・ロジャース)
制作年1927年
初演ミュージカル『A Connecticut Yankee』(1927年ブロードウェイ)で歌唱
キーF(ヘ長調)
拍子4/4拍子・32小節・AABA形式

※このタイトルについて:「Thou Swell」は、古語の「Thou(汝)」と、1920年代のスラング「Swell(素敵な、最高の)」を組み合わせた言葉遊びのタイトルです。物語がアーサー王の時代と現代のアメリカを行き来する設定になっているため、歌詞全体もあえて古めかしい英語と当時の流行語を混ぜ合わせたユーモラスな作りになっています。

1927年、作曲家リチャード・ロジャースと作詞家ロレンツ・ハートによって書かれた一曲です。マーク・トウェインの小説『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』を下敷きにしたミュージカル『A Connecticut Yankee(コネチカットのヤンキー)』のために作られました。物語は、現代のアメリカ青年マーティンが不思議な巡り合わせでアーサー王の時代へタイムスリップし、そこで出会った姫アリサンドとの恋を描くという設定です。この曲も劇中、二人が恋心を確かめ合う場面で歌われました。興味深いことに、フィラデルフィアでの試演の際、この曲は観客からほとんど反応を得られなかったと伝えられています。3週間経っても評判が変わらなかったにもかかわらず、作曲者リチャード・ロジャース自身がこの曲をショーから外すことを断固として拒み、そのままニューヨーク本公演まで残されました。結果としてこの曲は、ロジャース&ハートの代表作の一つとして今も歌い継がれています。以来、エラ・フィッツジェラルド、ナット・キング・コール、フランク・シナトラ、サラ・ヴォーンら数え切れないほどの歌手に取り上げられる人気曲となりました。

歌の情景・意味

恋人に向かって、「あなたは素敵だ」という気持ちを、次々と言葉を変えながら熱心に伝えようとする歌です。「あなたは素敵、あなたは最高、あなたはとびきり」——似たような称賛の言葉を惜しみなく重ねていく構成には、飾らない賛辞では物足りず、あれこれ言葉を探しながら愛情を伝えようとする、少し照れくさそうな恋人たちの姿が垣間見えます。歌詞にはアーサー王時代を思わせる古めかしい言い回しと、1920年代の若者言葉が入り混じっており、時代を超えた恋の物語という設定をそのまま言葉遊びに落とし込んだ、機知に富んだ仕掛けが施されています。深刻さよりも、恋する高揚感をユーモラスに、そして愛らしく描いた一曲です。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

Thou swell, thou witty, thou sweet, thou grand,
Wouldst kiss me pretty, wouldst hold my hand,
Both thine eyes are cute too, what they do to me,
Hi there, Camelot, low there, Wall Street.
That thou wilt not spurn me, my heart teach thee swank,
Thou canst make like Marlene, that ermine blank,
When we press the marriage button, cottage cheese I will make,
Thou swell, thou witty, thou grand.
Wouldst try a pretzel, thou hast my heart,
Sighing, sighing, my heart's not free,
Little know, dear, how much I love thee.

キー:F(ヘ長調) 形式:AABA(32小節)
ロジャース&ハート特有の、軽快で明るいツーファイブ進行が特徴です。

A セクション(1〜8小節)

Fmaj7
Dm7
Gm7
C7
Fmaj7
Dm7
Gm7
C7

▶ ポイント:ヘ長調の主和音から始まり、おなじみのツーファイブの流れを軽快に繰り返します。歌詞が「素敵、機知に富む、甘い、堂々とした」と称賛の言葉を次々に重ねていく構成と、この明るく規則正しい和音の反復がよく合っています。難しい転調はなく、弾むような足取りをそのまま楽しむとよいでしょう。

B セクション(ブリッジ)

Am7
D7
Gm7
C7
Am7
D7
Gm7
C7

▶ ポイント:ブリッジではAm7からD7へと進む部分で、少し違う方角を向いた響きが現れます。歌詞でいえば「私たちが結婚のボタンを押すその日には」という、未来を思い描く場面と重なります。最後は再び主調のFmaj7へと戻り、最後のAセクションへとつながっていきます。

1

Della

Della Reese(デラ・リース)

編集盤

デラ・リースの伸びやかな歌声が楽しめる一枚です。

2

Jay & Kai

J.J. Johnson & Kai Winding(J.J.ジョンソン&カイ・ウィンディング)

編集盤

二人のトロンボーン奏者J.J.ジョンソンとカイ・ウィンディングによる、息の合った共演集です。

3

Claude Bolling Trio

Claude Bolling(クロード・ボリング)

編集盤

フランスのピアニスト、クロード・ボリングのトリオによる、洒落た演奏が楽しめる一枚です。

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Richard Rodgers リチャード・ロジャース(1902–1979)

ニューヨーク生まれ。ロレンツ・ハートとのコンビで1920〜30年代のブロードウェイを席巻し、後にオスカー・ハマースタイン2世とのコンビでは『サウンド・オブ・ミュージック』『王様と私』など数々のミュージカルの金字塔を生み出しました。アカデミー賞・グラミー賞・トニー賞・ピュリッツァー賞・エミー賞すべてを制覇した稀有な作曲家としても知られます。作詞のロレンツ・ハート(1895–1943)は機知に富んだ言葉遊びで知られる名リリシストで、本作の古語と流行語を織り交ぜたユーモラスな歌詞は、彼の才気が存分に発揮された代表例の一つです。