Jazz Standard — 1941
ディス・タイム・ザ・ドリームズ・オン・ミー
| 作詞 | Johnny Mercer(ジョニー・マーサー) |
|---|---|
| 作曲 | Harold Arlen(ハロルド・アーレン) |
| 制作年 | 1941年 |
| 初演 | 映画『Blues in the Night』でPriscilla Laneが歌唱 |
| キー | E♭(変ホ長調) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節・AABA形式 |
1941年、作曲家ハロルド・アーレンと作詞家ジョニー・マーサーが、ワーナー・ブラザースの映画『Blues in the Night(ブルース・イン・ザ・ナイト)』のために書き上げた一曲です。同じ映画からは、タイトル曲であり今もブルースの名曲として名高い「Blues in the Night」も生まれています。劇中ではプリシラ・レインが歌い、公開と同じ年にグレン・ミラー楽団(歌:レイ・エバール)がヒットチャート11位、ウディ・ハーマン楽団が8位を記録するなど、すぐに人気を博しました。ちなみにこの曲は、姉妹曲「Blues in the Night」の陰に隠れがちですが、音楽評論家の間では「もう一つの隠れた名曲」として高く評価されることも少なくありません。アーレン自身、この曲の作曲にあたってはブルースの大家W.C.ハンディの著作を研究したという逸話も伝わっており、正統的なブルース形式に対する深い理解が、この曲とその姉妹曲の両方に息づいています。その後、チャーリー・パーカーやエラ・フィッツジェラルドをはじめ数多くのジャズ・ミュージシャンに取り上げられ、静かな人気を保ち続ける渋いスタンダードとなっています。
歌の情景・意味
これまで何度も恋に破れ、傷ついてきた語り手が、それでも今度こそは幸せな夢が自分のものになるはずだと、静かな希望を語る歌です。過去の恋では、いつも自分だけが夢を見て、相手には裏切られてきた——そんな苦い経験を抱えながらも、今度の恋にはきっと違う結末が待っていると信じたい。タイトルの「今度は夢が私のもの(This time the dream's on me)」という言葉には、繰り返し傷ついてもなお、もう一度信じてみようとする勇気がにじんでいます。派手な高揚感ではなく、経験を重ねた者だけが持つ、静かで確かな希望を歌った味わい深い一曲です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:E♭(変ホ長調) 形式:AABA(32小節)
ブルースの語法を土台にした、渋みのある和声進行が特徴です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:主和音E♭6を中心に、ツーファイブの動きを織り交ぜながら進んでいきます。作曲者アーレンがブルースを研究して書いた曲だけあって、シンプルながらどこか渋みのある響きが特徴です。歌詞が「かつては裏切られてきたけれど」と過去を振り返る場面と、この落ち着いた進行がよく合っています。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジもAセクションと近い性質の和音で構成されており、曲全体を通して一貫した渋みのある雰囲気が保たれています。歌詞でいえば「今なら分かる、あの夢とはあなたのことだった」という、静かな確信に至る場面と重なります。派手な転調を避け、じっくりと聴かせる作りになっている点が、この曲の魅力の一つです。
Standard Coltrane
John Coltrane(ジョン・コルトレーン)
1958年 / Prestige
コルトレーンがスタンダードを力強く吹き込んだプレスティッジ期の一枚です。
Helen Merrill
Helen Merrill(ヘレン・メリル)
1954年 / EmArcy
クリフォード・ブラウンを迎えた、ヘレン・メリルのデビュー作。ハスキーな歌声が心に残る名盤です。
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Harold Arlen ハロルド・アーレン(1905–1986)
ニューヨーク州バッファロー生まれ。牧師の息子として育ち、幼少期から歌と音楽に親しみました。映画『オズの魔法使』の「Over the Rainbow」でアカデミー歌曲賞を受賞したことで知られ、ブルースの語法を深く理解した稀有な白人作曲家としても評価されています。「Blues in the Night」「This Time the Dream's on Me」の二曲は、いずれもアーレンがブルースの大家W.C.ハンディの著作を研究して書き上げたと伝えられています。作詞のジョニー・マーサー(1909–1976)はジョージア州サバンナ出身の名リリシストで、アーレンとのコンビでは他にも数々の名曲を共作しました。