レコード・カセットテープの宅配買取 Bee Records

Jazz Standard — 1942

There Will Never Be Another You

お気に入り

ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー

作詞Mack Gordon(マック・ゴードン)
作曲Harry Warren(ハリー・ウォーレン)
制作年1942年
初演映画『Iceland』でJoan Merrillが歌唱(Sammy Kaye楽団の伴奏)
キーE♭(変ホ長調)
拍子4/4拍子・32小節・AABA形式

1942年、作曲家ハリー・ウォーレンと作詞家マック・ゴードンが、20世紀フォックス映画『Iceland(アイスランド)』のために書き上げた一曲です。フィギュアスケーターとして人気を博したソニア・ヘニー主演のこの映画は、太平洋戦争開戦直後に作られたミュージカル映画の一本でした。劇中では歌手ジョーン・メリルが、サミー・ケイ楽団の伴奏でこの曲を披露しています。映画そのものは今日ではあまり知られていませんが、映画史家トニー・トーマスはこの曲について、長く伸びやかな音程の上下運動から生まれる美しい旋律だと評しており、ウォーレンが手がけた中でも屈指の名旋律だと称賛しています。1942年のうちにジャズの世界へと紹介され、1950年代にはジャズ・ミュージシャンの間で広く定番曲として定着しました。以来420回を超える録音が残されているとも言われ、ジャズの現場では即興演奏の土台としても頻繁に用いられる、コード進行そのものが高く評価されているスタンダードです。ホレス・シルヴァーの「Split Kick」など、この曲の和声進行を借りて新たなメロディを乗せた「コントラファクト」も複数生まれています。

歌の情景・意味

「あなたに代わる人など、この先も現れない」——そう真っすぐに愛を誓う歌です。語り手は、たとえこの恋が終わってしまったとしても、これから先の人生で誰と出会おうとも、あなたほどの存在には二度と巡り合えないだろうと確信しています。過去の恋を懐かしむだけでなく、その相手が自分にとってかけがえのない、唯一無二の存在であったことを静かに、しかし揺るぎない確信を持って歌い上げる内容です。派手な言葉を使わず、シンプルな言い切りの中に深い愛惜の念を込めた、洗練された大人の恋の歌といえるでしょう。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

This is what I'm dreaming of,
There will never be another you,
There will never be another song,
The angels sang, they had to write a song for you.
There will never be another smile,
Nothing I would ever change, for I love all the ways
You have that certain style,
And there will never be another kiss,
Or a heaven that could compare with the memory of this,
Some men dream of fame and fortune,
Little do they know that it's in vain,
I dream of the day when I'll never be blue,
And that's the day when my dreams come true.
There will never, ever be another you.

キー:E♭(変ホ長調) 形式:AABA(32小節)
コード進行そのものがジャズ・ミュージシャンに愛され、多くの即興演奏の土台として使われてきた曲です。

A セクション(1〜8小節)

E♭maj7
Fm7
Gm7
C7
Cm7
Fm7
B♭7
E♭maj7

▶ ポイント:出だしのE♭maj7から、平行短調(Cマイナー)へ向かうツーファイブ(Fm7-B♭7ならぬGm7-C7)が現れるのが特徴的です。長調と短調のあいだを行き来するような柔らかな揺らぎが、この曲最大の魅力とされています。難しい理論はさておき、「明るさの中にふと影が差す」感覚を意識すると、旋律の美しさがよりよく伝わってきます。

B セクション(ブリッジ)

A♭maj7
D♭7
E♭maj7
Cm7
Fm7
B♭7
Fm7
B♭7

▶ ポイント:ブリッジの冒頭、A♭maj7からD♭7へ進む部分は、この曲の中でも特に印象的な瞬間です。一瞬だけ遠い場所へ旅するような響きが生まれ、その後すぐにE♭maj7へ帰ってきます。ジャズ・ミュージシャンがこの曲を好んで演奏する理由の一つが、このブリッジの持つ豊かな和声的な広がりにあるとされています。

1

Clubhouse

Dexter Gordon(デクスター・ゴードン)

1965年録音

デクスター・ゴードンの豪快なテナーが堪能できるセッション。ゆったりしたノリの中に確かな力強さがあります。

2

Chet Baker Sings

Chet Baker(チェット・ベイカー)

1954〜56年 / Pacific Jazz

中性的で柔らかな歌声とトランペットで、多くのファンを生んだ代表作。気だるく甘い空気が全編を包みます。

名盤を聴き放題で楽しむなら

Amazon Music Unlimitedなら、ジャズの名盤を定額で聴き放題。

無料体験をチェックする

名盤・名演のリンクはAmazonアソシエイト・リンクです。
Amazonのアソシエイトとして、ジャズ・スタンダード事典は適格販売により収入を得ています。

Harry Warren ハリー・ウォーレン(1893–1981)

ニューヨーク州ブルックリン生まれ。イタリア移民の家庭に育ち、本名はサルヴァトーレ・グァラーニョ。ハリウッドで最も成功した映画音楽作曲家の一人で、生涯に800曲を超える楽曲を発表し、アカデミー歌曲賞を3度受賞しています。「At Last」「You'll Never Know」など数々のスタンダードを世に送り出しながらも、一般には作品ほど名前が知られていない「縁の下の力持ち」的な存在としても語られます。作詞のマック・ゴードン(1904–1959)とは映画音楽の分野で長く名コンビを組みました。