Jazz Standard — 1946
ザ・シングス・ウィー・ディド・ラスト・サマー
| 作詞 | Sammy Cahn(サミー・カーン) |
|---|---|
| 作曲 | Jule Styne(ジュール・スタイン) |
| 制作年 | 1946年 |
| 初演 | Frank Sinatraによる初録音(1946年、Columbia。同年Jo Staffordの録音が最大のヒットに) |
| キー | E♭(変ホ長調) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節・AABA形式 |
1946年、作詞家サミー・カーンと作曲家ジュール・スタインの名コンビによって書かれた一曲です。夏の終わりに過ぎ去った恋を懐かしむ、ノスタルジックな味わいの歌として発表されました。最初に録音したのはフランク・シナトラで、コロンビア・レコードからアクセル・ストーダール楽団の伴奏で発表されています。もっとも、この曲を最大のヒットへと導いたのはジョー・スタッフォードの録音で、1946年のビルボード・チャートで10位を記録しました。同じ年にはヴォーン・モンローの録音もヒットチャート入りを果たし、1946年だけで複数のアーティストによる人気盤が並び立つという珍しい状況が生まれています。後年にはディーン・マーティンが1959年と1966年、それぞれ異なるクリスマス・アルバムのために新たに録音を残しており、季節を問わず愛される定番曲として今も歌い継がれています。
歌の情景・意味
過ぎ去った夏の恋を、冬になっても大切に思い出し続ける——そんな静かな郷愁を歌った曲です。湖に浮かぶボート、月明かりに照らされた水面、二人で口ずさんだお気に入りの歌、遊園地で獲得したぬいぐるみ人形。そうしたささやかな夏の思い出のひとつひとつが、丁寧に描き出されていきます。やがて夏の葉が色づき始めるように、二人の約束もいつしか色褪せてしまったけれど、その記憶だけは冬になってもずっと胸に残り続ける——そんな、忘れようとしても忘れられない恋の余韻を、穏やかな筆致で綴った一曲です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:E♭(変ホ長調) 形式:AABA(32小節)
穏やかなノスタルジーを感じさせる、落ち着いたバラード進行です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:おなじみのツーファイブの流れを、落ち着いた足取りで2回繰り返します。歌詞が「ボート」「遊園地」「自転車」と、夏の思い出をひとつずつ丁寧に数え上げていく構成と、この穏やかな和音の反復がよく重なっています。急がず、それぞれの思い出の情景を思い浮かべながら聴くとよいでしょう。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジの2小節目に登場するDdim7は、一瞬だけ景色が翳るような響きの和音です。歌詞でいえば「夏の葉が色褪せ始めるように、約束も薄れていった」という、切なさの増す場面と重なります。その後は再び馴染みのある進行へ戻り、最後のAセクションへとなめらかに橋渡しされます。
Chet Baker Sings
Chet Baker(チェット・ベイカー)
1954〜56年 / Pacific Jazz
中性的で柔らかな歌声とトランペットで、多くのファンを生んだ代表作。気だるく甘い空気が全編を包みます。
名盤・名演のリンクはAmazonアソシエイト・リンクです。
Amazonのアソシエイトとして、ジャズ・スタンダード事典は適格販売により収入を得ています。
Jule Styne ジュール・スタイン(1905–1994)
イギリス・ロンドン生まれ。幼少期にアメリカへ移住し、後にブロードウェイを代表する作曲家の一人となりました。『Gypsy』『Funny Girl』『Bells Are Ringing』など数々のミュージカルの音楽を手がけ、生涯にわたり1500曲以上を作曲したと言われています。作詞のサミー・カーン(1913–1993)とは1940年代を中心に数多くのヒット曲を共作しており、「Time After Time」「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」もこのコンビによる名曲です。