レコード・カセットテープの宅配買取 Bee Records

Jazz Standard — 1942

That Old Black Magic

お気に入り

ザット・オールド・ブラック・マジック

作詞Johnny Mercer(ジョニー・マーサー)
作曲Harold Arlen(ハロルド・アーレン)
制作年1942年
初演映画『Star Spangled Rhythm』でJohnny Johnstonが歌唱(Vera Zorinaが踊りで共演)
キーE♭(変ホ長調)
拍子4/4拍子・ロンド形式(A-B-A-C-A)※通常の32小節AABA形式とは異なる

※この曲の形式について:「That Old Black Magic」は、一般的なジャズ・スタンダードに多い32小節のAABA形式ではなく、A-B-A-C-Aという、より長く自由な「ロンド形式」で書かれています。同じAセクションのメロディが繰り返し立ち返りながら、その間にBやCといった異なる場面が挟み込まれる構成です。演奏時間も他の標準曲よりやや長めになる傾向があります。当ページのコード進行解説では、この形式の中心となるAセクションと、対照的な性格を持つBセクションを中心に取り上げています。

1942年、作曲家ハロルド・アーレンと作詞家ジョニー・マーサーが、映画『Star Spangled Rhythm(スター・スパングルド・リズム)』のために書き上げた一曲です。「魔法(black magic)」をテーマにした曲を書きたいというマーサーの発案から生まれ、二人はわずか3時間ほどでこの曲を書き上げたと伝えられています。作曲を進める中でマーサーが「もっと曲を長くできないか」とアーレンに求めた結果、通常のスタンダードよりも長い、ロンド形式という珍しい構成になったという逸話も残っています。1943年、グレン・ミラー楽団による録音が全米チャート1位を記録し、この曲を一躍有名にしました。同じ年、歌手ビリー・ダニエルズがナイトクラブで劇的な演出を交えて歌ったことでも評判を呼び、後に彼はこの曲にちなんで「オールド・ブラック・マジック・マン」の異名を得ています。以来、フランク・シナトラ、サミー・デイヴィス・ジュニア、ルイ・プリマ&キーリー・スミスなど、数え切れないほどの歌手・演奏家によって歌い継がれてきました。

歌の情景・意味

恋に落ちてしまった感覚を、抗いがたい「魔法」にかけられたことにたとえた歌です。相手の名前を呼ばれるだけで胸が高鳴り、体の内側で炎が燃え上がるような感覚——理屈では説明できない、抗うことのできない恋の作用が、次々と鮮やかな比喩で描かれていきます。「あの人の魔法が私を捉えて離さない」という繰り返しのフレーズが、まるで呪文のように何度も立ち返るのは、この曲がロンド形式で書かれていることとも重なります。理性ではどうにもならない、恋という名の魔法にすっかり魅入られてしまった人の高揚感が、曲全体を通して伝わってきます。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

That old black magic has me in its spell,
That old black magic that you weave so well,
Those icy fingers up and down my spine,
The same old witchcraft when your eyes meet mine.
The same old tingle that I feel inside,
And then that elevator starts its ride,
And down and down I go, round and round I go,
Like a leaf that's caught in the tide.
I should stay away, but what can I do?
I hear your name and I'm aflame,
Aflame with such a burning desire
That only your kiss can put out the fire.
For you're the lover I have waited for,
The mate that fate had me created for,
And every time your lips meet mine,
Baby, down and down I go, round and round I go,
In a spin, loving the spin I'm in,
Under that old black magic called love.

キー:E♭(変ホ長調) 形式:ロンド形式(A-B-A-C-A)
ここではロンド形式の中心となるAセクションと、対照的な性格を持つBセクションを取り上げます。

A セクション(テーマ部)

E♭6
Cm7
Fm7
B♭7
E♭6
Cm7
Fm7
B♭7

▶ ポイント:ロンド形式のテーマとなるこのAセクションは、繰り返し何度も立ち返ってくる「顔」にあたります。落ち着いたツーファイブの流れを土台に、歌詞の「同じ魔法にまた捉えられる」という感覚と呼応するように、同じ和音進行が何度も回帰します。まずはこのAの響きをしっかり覚えると、曲全体の構造がつかみやすくなります。

B セクション(対照部)

A♭maj7
Ddim7
E♭6
Cm7
Fm7
B♭7
E♭6
E♭6

▶ ポイント:AからBへ移る場面では、A♭maj7からDdim7という浮遊感のある和音が現れます。歌詞でいえば「エレベーターが動き出す」「ぐるぐると回る」といった、目まぐるしい高揚感が描かれる部分と重なります。ロンド形式らしく、この後は再びAセクションのテーマへと戻っていきます。曲全体としてはさらにCセクションも存在しますが、まずはAとBの対比を意識して聴くと、曲の輪郭がつかみやすくなります。

1

Sinatra & Swingin' Brass

Frank Sinatra(フランク・シナトラ)

1962年 / Reprise

ブラスを前面に押し出した編曲で、シナトラが勢いよくスウィングする一枚です。

2

Sarah Vaughan & Count Basie

Sarah Vaughan(サラ・ヴォーン)

1960年 / Roulette

サラ・ヴォーンがカウント・ベイシー楽団と共演した一枚。豊かな歌声とバンドの掛け合いが楽しめます。

3

Echoes of My Life

Mabel Mercer(メイベル・マーサー)

ヴォーカル作品

キャバレー歌手メイベル・マーサーが、語るように歌う名曲の数々。洗練された歌唱が魅力です。

名盤を聴き放題で楽しむなら

Amazon Music Unlimitedなら、ジャズの名盤を定額で聴き放題。

無料体験をチェックする

名盤・名演のリンクはAmazonアソシエイト・リンクです。
Amazonのアソシエイトとして、ジャズ・スタンダード事典は適格販売により収入を得ています。

Harold Arlen ハロルド・アーレン(1905–1986)

ニューヨーク州バッファロー生まれ。本名ハイマン・アーラック。牧師の息子として育ち、幼少期から歌と音楽に親しみました。映画『オズの魔法使』の「Over the Rainbow」でアカデミー歌曲賞を受賞したことで知られ、他にも「Come Rain or Come Shine」「One for My Baby」など数々のスタンダードを残しています。作詞のジョニー・マーサー(1909–1976)はジョージア州サバンナ出身の名リリシストで、アーレンとのコンビでは他にも「Blues in the Night」「Ac-Cent-Tchu-Ate the Positive」といった名曲を共作しました。