Jazz Standard — 1938
サンクス・フォー・ザ・メモリー
| 作詞 | Leo Robin(レオ・ロビン) |
|---|---|
| 作曲 | Ralph Rainger(ラルフ・レインジャー) |
| 制作年 | 1938年 |
| 初演 | 映画『The Big Broadcast of 1938』でBob HopeとShirley Rossがデュエットで歌唱 |
| キー | E♭(変ホ長調) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節・AABA形式 |
1938年の映画『The Big Broadcast of 1938(ビッグ・ブロードキャスト・オブ1938年)』のために、作曲家ラルフ・レインジャーと作詞家レオ・ロビンが書き上げた一曲です。映画の中でボブ・ホープとシャーリー・ロスが演じるのは、かつて夫婦だったものの離婚し、それぞれ別の相手と再婚を控えている二人。豪華客船の上で偶然再会した二人が、過去の思い出を皮肉と切なさを込めて語り合う場面で歌われます。制作陣がこの二人に求めたのは、「愛している」という言葉を一度も使わずに、それでも互いへの想いを伝えるという難しい注文でした。楽曲を初めて聴いたスタジオの重役たちが、感激のあまり涙を拭ったという逸話も残っています。この曲は1938年度のアカデミー歌曲賞を受賞し、以降ボブ・ホープの代名詞ともいえるテーマ曲となりました。彼は生涯にわたり、テレビ番組やステージの締めくくりに、この曲のフレーズをたびたび口にしています。
歌の情景・意味
かつて愛し合い、今は別々の道を歩む男女が、思い出を振り返りながら交わす会話のような歌です。「ありがとう、あの詩的な言葉の数々を」「ありがとう、あの喧嘩や仲直りを」——ふたりで過ごした日々の、楽しかったことも気まずかったこともすべてひっくるめて、皮肉交じりに、けれど確かな愛情を込めて感謝を伝えていきます。表向きは軽妙でユーモラスなやりとりですが、その奥には「本当は今も愛している」という本音がちらちらと見え隠れします。直接「好きだ」とは言わずに、思い出を数え上げることで気持ちを伝える——そんな大人の恋の終わり方を描いた、しゃれた味わいの一曲です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:E♭(変ホ長調) 形式:AABA(32小節)
会話劇のような歌詞の流れに寄り添う、素直で聴きやすい和声進行です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:ジャズの定番であるツーファイブの流れを、落ち着いた足取りで繰り返します。歌詞が「〜をありがとう」と思い出を一つひとつ数え上げていく構成と、この規則正しい和音の運びがよく重なっています。難しい転調はなく、まずは主和音への安心した帰着を意識して聴くとよいでしょう。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジは、映画の中で二人が軽口を叩き合う会話部分にあたります。和音自体はAセクションと近い性質を保ちながら、繰り返しのリズムがやや畳みかけるようになり、ユーモラスな掛け合いの雰囲気を音楽的にも支えています。最後は自然にAセクションのE♭maj7へと着地します。
Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66
Sergio Mendes(セルジオ・メンデス)
1966年 / A&M
ボサノヴァをポップに親しみやすく聴かせた、セルジオ・メンデスの人気作です。
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Ralph Rainger ラルフ・レインジャー(1901–1942)
ニューヨーク生まれ。もとは弁護士を志していましたが、音楽への情熱から作曲家に転身しました。1930年代のハリウッドでパラマウント映画の専属作曲家として活躍し、「Thanks for the Memory」でアカデミー歌曲賞を受賞しています。作詞家レオ・ロビン(1900–1984)とのコンビでは、他にも数々の映画音楽を手がけました。レインジャーは1942年、飛行機事故により41歳の若さで急逝しています。