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Jazz Standard — 1940

Taking A Chance On Love

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テイキング・ア・チャンス・オン・ラヴ

作詞John La Touche & Ted Fetter(ジョン・ラトゥーシュ/テッド・フェッター)
作曲Vernon Duke(ヴァーノン・デューク)
制作年1940年
初演ミュージカル『Cabin in the Sky』(1940年10月25日、ブロードウェイ・マーティンベック劇場)でEthel Watersが歌唱
キーC(ハ長調)※歌手により変更されることが多い
拍子4/4拍子・32小節・AABA形式

1940年のブロードウェイ・ミュージカル『Cabin in the Sky(キャビン・イン・ザ・スカイ)』のために書かれた一曲です。作曲はヴァーノン・デューク、作詞はジョン・ラトゥーシュとテッド・フェッターの二人。初演では主演のエセル・ウォーターズが歌い、この作品を代表するナンバーとして客席を沸かせました。もともとこの曲は、開幕直前になって「もう一曲どうしても明るい歌がほしい」という現場の求めに応じ、短い時間で仕上げられたものだと伝えられています。急ごしらえだったにもかかわらず、結果的にはショー全体で最も愛される歌になりました。1940年にはベニー・グッドマン楽団がヘレン・フォレストの歌で録音し、1943年の再発売で全米1位を記録しています。同じ年にはMGMが同名の映画を製作し、エセル・ウォーターズが銀幕でも同じ歌を歌ったことで、曲の人気は決定的なものになりました。以来、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、トニー・ベネットら数え切れないほどの歌手に取り上げられ、ジャズ・スタンダードとして定着しています。テンポの速いスウィングで演奏されることが多く、ライブの一曲目や締めくくりに選ばれることの多い、華やかで前向きな曲です。

歌の情景・意味

タイトルを直訳すれば「恋に賭けてみる」。長いあいだ恋愛でうまくいかず、もう期待するのはやめようと思っていた人物が、それでももう一度だけ心を開いてみようと決心する——そんな歌です。歌詞にはクローバーや馬蹄、はしごの下をくぐるといった、欧米でおなじみの「縁起かつぎ」の言葉が次々に出てきます。これまでは不吉なものを避け、慎重に生きてきた。けれども今は、幸運が自分の側に回ってきた気がする。だからもう恐れずに飛び込もう——という、明るい高揚感が全体を貫いています。ミュージカルの中では、貧しくも一途な妻ペチュニアが夫への愛を歌う場面で用いられました。単なる恋の歌というより、「もう一度人を信じてみよう」という決意の歌として聴くと、この曲の弾むようなリズムがいっそう胸に響きます。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

Here I stand once more,
The horns strike up the tune they played before,
And my heart takes the floor —
I'm taking a chance on love.
I found a clover leaf,
A lucky horseshoe past belief,
So farewell to my old grief —
I'm taking a chance on love.
Things are turning right,
The sky I feared has gone from grey to light,
Ladders hold no fear tonight,
My luck has turned at last.
I never used to dare,
I'd count up every reason to beware,
And keep my heart in careful care —
But now I'm taking a chance on love.
The old fears fall away,
Tomorrow starts today,
Whatever price I pay,
I'm taking a chance on love.

キー:C(ハ長調) 形式:AABA(32小節)
ハ長調の明るい響きを土台に、Aセクション後半で一度だけ翳りのある和音が差し込まれるのが最大の聴きどころです。

A セクション(1〜8小節)

Cmaj7
Cmaj7
Dm7 G7
Cmaj7
C7
F
Fm6
Cmaj7(Dm7 G7)

▶ ポイント:前半4小節は、ハ長調のごく素直な行き来です。教科書どおりの安定した響きで、聴く人を安心させます。面白いのは5小節目以降。C7という「少し外を向いた」和音が現れてFへ移り、続くFm6で急に影が差します。長調のまま進んでいた景色に、ふっと薄雲がかかるような瞬間です。歌詞でいえば「これまでの慎重だった自分」を思い出す部分。そしてすぐにCmaj7へ戻って明るさを取り戻します。この明→暗→明の一往復が、曲全体の表情を決めています。

B セクション(ブリッジ)

F
F
Cmaj7
Cmaj7
D7
D7
Dm7
G7

▶ ポイント:ブリッジはFから始まります。Aセクションが「家」だとすれば、ここは一歩外に出た場所。景色が少し開けた感じがするはずです。後半に出てくるD7は、本来この調にはない音を含んだ和音で、聴き手を軽く前のめりにさせる働きをします。そこからDm7 → G7と自然に流れ、最後のAセクションへ滑り込む。演奏では、この8小節をぐっと歌い上げてから元のメロディへ戻るのが定石です。※コードは演奏者や譜面によって細部が異なります。ここでは最も一般的に演奏される形を掲載しています。

1

Ella Fitzgerald Sings the Rodgers & Hart Song Book

Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)

1956年 / Verve

ロジャース&ハートの名曲をエラが歌う、ソングブック・シリーズの代表作です。

2

Dinah Washington

Dinah Washington(ダイナ・ワシントン)

編集盤

ダイナ・ワシントンの力強く表情豊かな歌声を楽しめる一枚です。

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Vernon Duke ヴァーノン・デューク(1903–1969)

帝政ロシア(現ベラルーシ)生まれ。本名はウラディーミル・ドゥケルスキーといい、革命を逃れて渡米しました。クラシックの作曲家としては本名で交響曲やバレエ音楽を書き、ポピュラー・ソングを書くときだけ「ヴァーノン・デューク」の名を使い分けています。この筆名はジョージ・ガーシュウィンの助言によるものと伝えられます。「April in Paris」「Autumn in New York」「I Can't Get Started」など、憂いを帯びた美しい旋律で知られる作曲家ですが、本作のように弾むような明るい曲も残しました。作詞のジョン・ラトゥーシュ(1914–1956)は『Cabin in the Sky』で名を上げ、後にオペラの台本なども手がけた才人です。