レコード・カセットテープの宅配買取 Bee Records

Jazz Standard — 1870年代(出版)

Swing Low, Sweet Chariot

お気に入り

スウィング・ロウ、スウィート・チャリオット

作詞伝承曲(ウォレス・ウィリス伝、諸説あり)
作曲伝承曲(ウォレス・ウィリス伝、諸説あり)
制作年1865年以降とされる(1872年『Jubilee Songs』にて初出版)
初演フィスク大学ジュビリー・シンガーズが1870年代のツアーで広め、1909年にフィスク大学ジュビリー・カルテットが史上初録音を行った
キーG(ト長調)
拍子4/4拍子・コール・アンド・レスポンス形式のスピリチュアル(一般的なAABA32小節形式ではない)

「Swing Low, Sweet Chariot」は、アメリカの奴隷制時代に生まれたとされる黒人霊歌(ネグロ・スピリチュアル)で、正確な作者や成立時期は定かではありません。有力な伝承のひとつによれば、南北戦争後にオクラホマ準州でチョクトー族の解放奴隷として暮らしていたウォレス・ウィリスが作った、あるいは彼が働いていたレッド・リバーの光景から着想を得て歌ったとされています。この地域のチョクトー族向け寄宿学校スペンサー・アカデミーの校長アレクサンダー・リードがウィリスの歌声に感銘を受け、その旋律と歌詞を書き留めてテネシー州のフィスク大学へ送りました。1871年に結成されたフィスク・ジュビリー・シンガーズがアメリカとヨーロッパを巡るツアーでこの曲を広め、1872年には楽譜集『Jubilee Songs』に収録されて世に知られるようになります。歌詞に登場する「ヨルダン川」や「天使の一団」といったイメージには、聖書の物語(預言者エリヤが炎の戦車で天に上げられた場面)への言及とともに、奴隷制からの逃亡経路であった「地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)」を暗示する隠語としての意味合いも込められていたと考えられています。1909年のフィスク大学ジュビリー・カルテットによる史上初録音以降、ルイ・アームストロングをはじめ数多くのジャズ・ミュージシャンにも取り上げられ、20世紀後半には公民権運動の中でも歌い継がれるなど、アメリカ音楽史・社会史の両面で重要な位置を占める楽曲です。

この曲の背景について

この曲は、奴隷制という歴史的な人権侵害の中で生まれ、苦難の中にあった人々の信仰と希望を支えた黒人霊歌です。「家(ホーム)」という言葉には、天国という宗教的な意味とともに、自由の地という意味も込められていたとする研究があり、単なる宗教歌にとどまらない、抑圧された人々の切実な願いが込められた作品として今日まで大切に歌い継がれています。本ページでは、こうした歴史的背景を尊重しながらこの曲をご紹介しています。

歌の情景・意味

「甘き戦車よ、低く舞い降りて、私を故郷へ連れて行っておくれ」——苦難の中にある魂が、天からの迎えを待ち望む歌です。ヨルダン川の向こう岸を見渡し、自分を迎えに来てくれる天使の一団の姿を思い描くという聖書的なイメージを通じて、今の苦しみがいつか終わり、安らぎの地へたどり着けるという希望が歌われています。奴隷制下で歌われた当時は、この「故郷」が天国だけでなく、自由の地そのものを指す隠された意味も持っていたと考えられており、単なる慰めの歌を超えた、切実な祈りと希望の歌として今も歌い継がれています。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

Swing low, sweet chariot, coming to carry me home
Swing low, sweet chariot, coming to carry me home
I looked across the Jordan, and what did I see
A band of angels coming after me, coming to carry me home
If I get there before you do, coming to carry me home
I'll tell them all that you're coming too, coming to carry me home
The brightest day that I can see, coming to carry me home
When Jesus washed my sins away, coming to carry me home

※この曲は一般的なAABA32小節形式ではなく、コーラス(斉唱部)とヴァース(語り部)が交互に繰り返されるコール・アンド・レスポンス形式のスピリチュアルとして書かれています。ここではコーラス部分とヴァース部分に分けて紹介します。

キー:G 拍子:4/4
素朴で歌いやすい、伝統的なゴスペル和声が特徴です。ジャズで演奏される際にはより複雑な和音が加えられることもあります。

コーラス(斉唱部)

G
C
G
D7
G
C
D7
G

▶ ポイント:「G→C→G→D7」というシンプルで力強い進行が、大勢で斉唱するのにふさわしい素朴な力強さを生んでいます。伝統的な霊歌らしい、飾らない和声です。

ヴァース(語り部)

G
Em
C
D7
G
C
D7
G

▶ ポイント:ヴァース部分では「Em」の柔らかな翳りが加わり、語りかけるような落ち着いた雰囲気になります。コーラスとの対比が、コール・アンド・レスポンスの呼吸をより際立たせています。

1

Belafonte

Harry Belafonte(ハリー・ベラフォンテ)

1956年 / RCA

ハリー・ベラフォンテの初期の代表作。温かな歌声で、フォークやカリプソの名曲が聴けます。

名盤を聴き放題で楽しむなら

Amazon Music Unlimitedなら、ジャズの名盤を定額で聴き放題。

無料体験をチェックする

名盤・名演のリンクはAmazonアソシエイト・リンクです。
Amazonのアソシエイトとして、ジャズ・スタンダード事典は適格販売により収入を得ています。

伝承曲(ウォレス・ウィリス伝、諸説あり)

南北戦争後、オクラホマ準州でチョクトー族の解放奴隷として暮らしていたウォレス・ウィリスと、娘のミネルヴァ・ウィリスによって作られたと伝えられていますが、確実な証拠があるわけではなく、口承の民謡として少しずつ形作られていったとする見方もあります。スペンサー・アカデミーの校長アレクサンダー・リードが2人の歌を書き留め、フィスク大学へ送ったことで広く世に知られるようになりました。単独の「作者」を特定することは今も難しく、アフリカ系アメリカ人の集合的な音楽的伝統の中から生まれた作品として位置づけられています。