Jazz Standard — 1943
ザ・サリー・ウィズ・ザ・フリンジ・オン・トップ
| 作詞 | Oscar Hammerstein II(オスカー・ハマースタイン2世) |
|---|---|
| 作曲 | Richard Rodgers(リチャード・ロジャース) |
| 制作年 | 1943年 |
| 初演 | ブロードウェイ・ミュージカル『Oklahoma!』第1幕にて、主人公カーリーがヒロインのローリーを口説く場面で歌唱 |
| キー | Bb(変ロ長調) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節AABA形式 |
「The Surrey With The Fringe On Top」は1943年、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世が初めて共作したミュージカル『Oklahoma!(オクラホマ!)』のために書いた楽曲です。「サリー」とは19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカで流行した四輪馬車のことで、劇中では主人公カーリーが、意中の女性ローリーを社交ダンスの会へ誘うため、その豪華な馬車を得意げに描写して見せます。ハマースタインは実際には数週間かけて歌詞を練り上げましたが、それを見せられたロジャースはピアノに向かい、わずか数分で旋律を書き上げたという逸話が残っています。同じ音を反復する印象的なメロディーが「カタカタ」という馬車の車輪の音を思わせる、実に巧みな仕掛けになっています。1952年にピアニストのアーマッド・ジャマルが録音したことをきっかけに、トランペット奏者マイルス・デイヴィスが自身のレパートリーに取り入れ、以降ii-V-Iの進行を活かしたビバップ的なアドリブの舞台として、数多くのジャズ・ミュージシャンに演奏されるようになりました。ミュージカルの劇中歌がジャズ・スタンダードへと転生した好例のひとつです。
歌の情景・意味
意中の相手を口説くため、これから乗せていく馬車がどれほど立派で豪華かを、少し大げさに、しかし愛情たっぷりに描写していく歌です。真っ白な馬、本革のダッシュボード、房飾りのついた屋根——具体的なディテールを次々と積み重ねながら、「隣近所がうらやましがるはずだ」「星がぼやけて見えるほど二人の距離が近づく」と、次第にロマンチックな高揚感へと発展していきます。馬車という物を語りながら、実は自分自身への好意を売り込むという、ユーモラスで愛らしい求愛の歌です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:Bb 形式:AABA(32小節)
ii-V-Iの進行を多く含む、ビバップ以降のジャズ・ミュージシャンから即興演奏の題材として愛される構成です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:「Cm7→F7→Bbmaj7」という典型的なii-V-I進行が繰り返され、馬車の車輪が回るような規則正しいリズム感を生み出しています。ジャズ演奏者にとってアドリブの練習にも適した、覚えやすく応用が利く進行です。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジでは「Edim7」の彩りが加わり、少し洗練された響きに変化します。星がにじんで見えるというロマンチックな歌詞の場面にふさわしい、きらめきのある和声展開です。
Kelly Blue
Wynton Kelly(ウィントン・ケリー)
1959年 / Riverside
ウィントン・ケリーの軽やかなタッチと、ブルース感覚あふれるスウィングが堪能できる代表作です。
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Richard Rodgers リチャード・ロジャース(1902–1979)
アメリカのミュージカル作曲家。作詞家ロレンツ・ハートとのコンビで1920〜30年代に一時代を築き、ハートの死後はオスカー・ハマースタイン2世と組んで『Oklahoma!』『サウンド・オブ・ミュージック』などの傑作を生み出しました。「My Funny Valentine」「Blue Moon」など数多くのジャズ・スタンダードを作曲し、ミュージカル史上最も成功した作曲家のひとりとされています。