Jazz Standard — 1944
ステラ・バイ・スターライト
| 作詞 | Ned Washington(ネッド・ワシントン) |
|---|---|
| 作曲 | Victor Young(ヴィクター・ヤング) |
| 制作年 | 1944年(歌詞は1946年に追加) |
| 初演 | 映画『The Uninvited(邦題:呪いの家)』のメイン・テーマ曲として使用。当初は歌詞のない器楽テーマだったが、1946年にネッド・ワシントンが歌詞をつけた |
| キー | Bb(変ロ長調・ジャズでの一般的な演奏キー) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節(A1-B-C-A2という変則的な構成、一般的なAABA形式ではない) |
「Stella By Starlight」は1944年、映画音楽の名匠ヴィクター・ヤングが、パラマウント映画『The Uninvited(邦題:呪いの家)』のために書いたメイン・テーマ曲です。もとは歌詞のない器楽曲として、劇中でヒロインのステラをモデルにした幽玄な雰囲気を醸し出す主題曲として使われていました。2年後の1946年、作詞家ネッド・ワシントンにこの旋律が託され、初めて歌詞がつけられます。ワシントンは曲名の「Stella」という言葉を歌詞に自然に組み込む必要があったため、通常とは異なり曲の後半、およそ4分の3ほど進んだあたりでようやくタイトル・フレーズが登場するという珍しい構成になりました。1947年のハリー・ジェイムズ楽団やフランク・シナトラの録音でポピュラー音楽として広まった後、1952年にはチャーリー・パーカーが初めてジャズとして録音し、以降スタン・ゲッツ、バド・パウエル、スタン・ケントンなどが取り上げたことで不動のジャズ・スタンダードとなりました。jazzstandards.com では歴代でも屈指の重要曲として第10位にランクされるなど、映画音楽由来でありながらジャズの世界にもっとも深く根を下ろした名曲のひとつです。
歌の情景・意味
星明かりに照らされて現れる、ステラという名の女性への憧れと愛おしさを歌った曲です。夢か現実かわからないような、幻想的で神秘的な雰囲気の中で、その姿の美しさと、それに心を奪われていく様子が描かれます。映画の幽玄なストーリーを反映するように、歌詞全体がどこか夢見心地で、はっきりとした輪郭を持たない詩的なイメージの積み重ねによって、恋する相手への憧憬を表現しているのが特徴です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
※この曲は一般的なAABA32小節形式ではなく、「A1-B-C-A2」という変則的な構成で書かれています。ここでは冒頭のA1セクションと中間のCセクションに分けて紹介します。
キー:Bb 形式:A1-B-C-A2(32小節)
ジャズ・ミュージシャンの間で「和声的に最も奥深いスタンダードの一つ」として知られ、演奏者ごとに解釈が分かれることでも有名です。
A1 セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:主和音(Bb)ではなく、幻想的で謎めいた響きの「Em7b5」から始まるのがこの曲最大の特徴です。まるで霧の中から人影が浮かび上がるような、ミステリアスな雰囲気を作り出しています。
C セクション(後半の展開部)
▶ ポイント:「彼女こそステラ」というタイトル・フレーズが登場するこのセクションで、ようやく主和音「Bbmaj7」に落ち着きます。それまでの浮遊感のある和音進行から解き放たれる瞬間が、この曲最大のドラマです。
Victor Young ヴィクター・ヤング(1900–1956)
アメリカの作曲家・編曲家・指揮者・ヴァイオリニスト。1935年からパラマウント映画の専属作曲家として活躍し、生涯で350本以上の映画音楽を手がけました。アカデミー賞には22回ノミネートされ、「Golden Boy」「静かなる男」などの名作映画音楽でも知られています。「Stella By Starlight」は代表作のひとつとして、今日もジャズ・スタンダードの中核をなす楽曲です。