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Jazz Standard — 1914

St. Louis Blues

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セント・ルイス・ブルース

作詞W.C. Handy(W.C.ハンディ)
作曲W.C. Handy(W.C.ハンディ)
制作年1914年
初演1914年9月に楽譜出版。ハンディ自身が「ブルースの父」と呼ばれるきっかけとなった代表作
キーG(ト長調)/ブリッジ部はG minor(ト短調)
拍子4/4拍子・12小節ブルース+16小節ハバネラ(タンゴ)のブリッジという当時としては極めて革新的な構成

「St. Louis Blues」は1914年、後に「ブルースの父」と呼ばれることになる作曲家W.C.ハンディが発表した楽曲です。ハンディ自身が1892年頃、無一文でセントルイスの街をさまよっていた頃の実体験にもとづいていると言われています。ハンディはこの曲で、南部の黒人音楽の伝統に根ざしたブルースの語法に、当時大流行していたタンゴ(ハバネラ・リズム)を大胆に組み合わせるという革新的な試みを行いました。ハンディ自身の回想によれば、社交ダンスの会場でこの曲を初めて演奏した際、タンゴ風の序奏から一転して低く粘りのあるブルースへと崩れ込んだとき、踊り手たちがまるで電流に打たれたかのように熱狂したといいます。12小節のブルース・セクションと16小節のタンゴ・セクションを組み合わせた構成は、当時のブルースとしては非常に野心的な音楽的挑戦であり、この曲を単なる民謡の域を超えた「作品」として押し上げました。1925年のベッシー・スミス(トランペット:ルイ・アームストロング)による録音をはじめ、20世紀を通じて1800を超えるジャズ関連の録音が存在するとされ、ASCAPの調査では20世紀前半でもっとも多く録音された楽曲のひとつに数えられています。

この曲の背景について

原詩には当時の南部黒人英語の発音を再現した方言表記(例:「de」「ev'nin'」など)が用いられていますが、本ページの英語歌詞は内容を尊重しつつ標準的な英語表現に置き換えたオリジナルの言い換えです。この曲はブルース音楽の伝統を確立した歴史的意義を持つ作品として紹介しています。

歌の情景・意味

恋人に去られた悲しみと、それでも前を向こうとする気持ちが入り混じった、ブルースらしい率直な心情吐露の歌です。「太陽が沈むのを見るのが辛い」という有名な冒頭のフレーズから始まり、去っていった相手への未練と怒り、そして自分の運命を受け入れようとする複雑な感情が、飾らない言葉で歌われます。悲しみをただ嘆くのではなく、そこにユーモアや強さも織り交ぜながら乗り越えていこうとする、ブルースという音楽形式の精神そのものを体現した一曲です。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

I hate to see that evening sun go down
I hate to see that evening sun go down
It makes me think I'm leaving town
My man's got a heart just like a rock cast in the sea
My man's got a heart just like a rock cast in the sea
Or else he wouldn't have gone so far from me
I've got those St. Louis blues, as blue as I can be
That man's got a heart as cold as it can be, 'cause he's gone so far from me

※この曲は一般的なAABA32小節形式ではなく、12小節ブルースのセクションと16小節のタンゴ(ハバネラ)風ブリッジを組み合わせた、当時としては非常に独創的な構成で書かれています。ここでは12小節ブルースのAセクションと、16小節タンゴのBセクションに分けて紹介します。

キー:G 形式:12小節ブルース(A)+16小節タンゴ(B)
ブルース進行とタンゴのハバネラ・リズムという異なる要素を組み合わせた、当時としては画期的な構成です。

A セクション(12小節ブルース)

G7
G7
G7
G7
C7
C7
G7
G7
D7
C7
G7
D7

▶ ポイント:「G7」を基調とした、私たちが今日「ブルース進行」として知る型を確立した歴史的な進行です。3行歌詞(同じ行を2回繰り返し、3行目で落とす)という、ブルース特有の歌詞構造とも密接に結びついています。

B セクション(16小節タンゴ/ハバネラ)

Gm
Gm
D7
D7
Gm
Gm
D7
Gm

▶ ポイント:同主短調(Gマイナー)に転じ、ハバネラ特有の付点のリズムに乗せて演奏されるのがこの曲最大の特徴です。ブルースの合間に異国情緒あふれるタンゴが挟み込まれる構成は、発表当時のダンスホールに大きな衝撃を与えたと伝えられています。

1

The Empress

Bessie Smith(ベッシー・スミス)

編集盤

「ブルースの女帝」と呼ばれたベッシー・スミスの、力強い歌声を集めた一枚です。

2

Lady Day

Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)

編集盤

ビリー・ホリデイの若き日の録音を集めた一枚。軽やかでみずみずしい歌声が味わえます。

3

New York, N.Y.

George Russell(ジョージ・ラッセル)

1959年 / Decca

ジョージ・ラッセルが都会の空気を描いた意欲作。ジャズと語りを組み合わせた斬新な構成が魅力です。

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W.C. Handy W.C.ハンディ(1873–1958)

アメリカの作曲家・バンドリーダー。「ブルースの父」として知られ、南部の黒人音楽の伝統を楽譜として体系化し、広く一般に紹介した先駆者です。「Memphis Blues」「St. Louis Blues」など数々の楽曲を通じてブルースという音楽形式を確立し、後のジャズ・ポピュラー音楽全体に計り知れない影響を与えました。晩年は失明しながらも作曲活動と音楽教育に尽力し、アメリカ音楽史における最重要人物のひとりとされています。