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Jazz Standard — 1939

Somewhere Over the Rainbow

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サムホエア・オーヴァー・ザ・レインボー

作詞E.Y. Harburg(E.Y.ハーバーグ、通称「イップ」)
作曲Harold Arlen(ハロルド・アーレン)
制作年1939年
初演映画「オズの魔法使」(The Wizard of Oz)でジュディ・ガーランドが歌唱(1939年公開)
キーE♭長調(映画版原曲)
拍子4/4拍子・32小節・AABA形式

「サムホエア・オーヴァー・ザ・レインボー」は、1939年公開のミュージカル映画「オズの魔法使」の主題歌として生まれた曲です。作曲したのはハロルド・アーレン、作詞は「イップ」の愛称で親しまれたE.Y.ハーバーグ。主人公ドロシーを演じたジュディ・ガーランドが歌ったこの曲は、映画の大ヒットとともに瞬く間に世界中へ広まり、20世紀を代表するポピュラー音楽の名曲のひとつとなりました。2001年にはアメリカの音楽業界紙「ビルボード」の集計で「20世紀最大のヒット曲」に選ばれるほどの知名度を誇ります。

じつはこの曲、映画の完成試写の段階で「子供向けすぎる」との理由でいちど削除されそうになったという逸話があります。しかし関係者の強い説得によって復活し、翌年にはアカデミー賞主題歌賞を受賞しました。シンプルで覚えやすいメロディと、「虹の向こうにきっと夢の場所がある」という普遍的なテーマが、時代や国境を超えて人々の心に響き続けています。ジャズの世界でも長く愛され、数えきれないほどのミュージシャンが独自の解釈でこの曲を演奏してきました。

歌の情景・意味

今いる場所がつらくて、どこか遠くへ行ってしまいたい——そんな気持ちを抱えた少女が、空に輝く虹を見上げながら夢想する歌です。「虹の向こうには、空がいつも青く、夢見たことがすべて本当になる国がある」「幸せを見つけたレモン色の小鳥でさえ、虹の向こうへ飛んでいける。なぜ私だけできないの?」——この切実な問いかけが、映画の文脈を超えてあらゆる人の胸に刺さります。子供の頃に抱いた「もっと素晴らしい場所があるはず」という純粋な憧れ。年を重ねた今でもどこかに残っているその気持ちを、この歌はやさしくすくい上げてくれます。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

Verse A(Aセクション①)

Somewhere over the rainbow, way up high,
There's a land that I heard of once in a lullaby.

Verse A(Aセクション②)

Somewhere over the rainbow, skies are blue,
And the dreams that you dare to dream really do come true.

Bridge(Bブリッジ)

Someday I'll wish upon a star,
And wake up where the clouds are far behind me.
Where troubles melt like lemon drops,
Away above the chimney tops, that's where you'll find me.

Verse A(最終Aセクション)

Somewhere over the rainbow, bluebirds fly.
Birds fly over the rainbow; why then, oh why can't I?

Coda(コーダ)

If happy little bluebirds fly beyond the rainbow,
Why, oh why can't I?

キー:E♭長調(原曲) 形式:AABA(32小節)
大らかで親しみやすいメロディを支える和声はシンプルながら、ブリッジで長調から短調へと色が変わる巧みな仕掛けがあります。冒頭の「ド→ソ(1オクターブ)」の跳躍が、空へ飛び立つような開放感を生み出しています。

A セクション①(1〜8小節)

E♭
Cm
Gm
E♭
E♭7
A♭
Fm7
B♭7

▶ ポイント:E♭(ミ♭長調)の主和音から始まり、Cm(ド短調)へと移ることで、明るさの中にほのかな哀愁が生まれます。E♭7(セブンスの和音)はA♭への「橋渡し」となる和音で、このひとつの音が加わるだけで音楽がぐっと豊かになります。最後のFm7→B♭7は、次のAセクションへ自然につながる流れです。

A セクション②(9〜16小節)

E♭
Cm
Gm
E♭
E♭7
A♭
E♭
E♭

▶ ポイント:①とほぼ同じ進行ですが、末尾がB♭7でなくE♭に落ち着きます。「虹の向こうでは、夢が叶う」という歌詞の確信に呼応するように、和音もいったん主調に戻り、安堵感を与えます。シンプルな繰り返しの中に変化をつけるこの工夫がアーレンの腕の見せどころです。

B セクション(ブリッジ、17〜24小節)

E♭maj7
Edim7
Fm7
B♭7
Gm
E♭7
A♭
B♭7

▶ ポイント:ブリッジの聴きどころはEdim7(イー・ディミニッシュ・セブンス)という和音です。「dim(ディミニッシュ)」は4つの音が等間隔に重なった、少しひんやりとした不思議な響きの和音。「いつか星に願いをかけ…」という歌詞の夢幻的な世界観を巧みに表しています。GmはE♭長調の中のマイナーな色合いを帯びた和音で、憧れと切なさが入り混じる感情を引き出します。

A セクション③・コーダ(25〜32小節)

E♭
Cm
Gm
E♭
E♭7
A♭
Fm
E♭

▶ ポイント:最初と同じ進行で戻り、「なぜ私にはできないの?」という問いかけとともに静かに終わります。コーダ(末尾)ではFmがFm7でなくFm(短三和音)になり、少し影を帯びた余韻が残ります。答えの出ない問いを音楽的に表現した、洗練されたエンディングです。

1

In the Land of Hi-Fi

Sarah Vaughan(サラ・ヴォーン)

1955年 / EmArcy

サラ・ヴォーンが、ジョージ・トレッドウェルの楽団とともに、豪華なアレンジに乗せて歌います。

2

The Great Lorez Alexandria

Lorez Alexandria(ロレツ・アレキサンドリア)

1964年 / Impulse!

シカゴ出身の歌手ロレツ・アレキサンドリアの代表作。深みのある力強い歌声が魅力です。

3

Fontessa

Modern Jazz Quartet (MJQ)(モダン・ジャズ・カルテット)

1956年 / Atlantic

室内楽的な落ち着きを持つ、モダン・ジャズ・カルテットの代表作です。

4

The Amazing Bud Powell Vol. 1

Bud Powell(バド・パウエル)

1951年 / Blue Note

バド・パウエルがブルーノートに残した代表作。ビバップ・ピアノの真髄が聴けます。

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Harold Arlen ハロルド・アーレン(1905–1986)

ニューヨーク州バッファロー生まれのアメリカ人作曲家。本名はハイマン・アーリック。ユダヤ系移民の家庭に育ち、幼い頃から音楽に親しみました。1920年代後半からニューヨークのソングライターとして活動を始め、ブルースやゴスペルの影響を巧みに取り込んだ独自のスタイルを確立しました。「サムホエア・オーヴァー・ザ・レインボー」以外にも「ストーミー・ウェザー」「アイ・ガット・ア・ライト・トゥ・シング・ザ・ブルース」など、今日もジャズのスタンダードとして広く演奏される名曲を多数残しています。その音楽には常にブルースの哀愁と、ポップスの親しみやすさが同居しており、ジャズミュージシャンたちが即興の素材として好んで取り上げる理由のひとつとなっています。「オズの魔法使」でアカデミー賞主題歌賞を受賞したことで名声を確立しましたが、彼の音楽はその一曲にとどまらない、深く豊かな世界を持っています。