Jazz Standard — 1929
シンギング・イン・ザ・レイン
| 作詞 | Arthur Freed(アーサー・フリード) |
|---|---|
| 作曲 | Nacio Herb Brown(ネイシオ・ハーブ・ブラウン) |
| 制作年 | 1929年 |
| 初演 | 1929年のブロードウェイ・レビュー『The Hollywood Music Box Revue』でドリス・イートン・トラヴィスが初披露。同年の映画『The Hollywood Revue of 1929』でクリフ・エドワーズとブロックス・シスターズが歌い広く知られるようになった |
| キー | G(ト長調) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節コーラス+24小節ヴァースという当時としては珍しい変則構成 |
「Singin' In The Rain」は1929年、作曲家ネイシオ・ハーブ・ブラウンと作詞家アーサー・フリードのコンビによって書かれた楽曲です。ちょうどサイレント映画からトーキー映画への過渡期にあたる時代に発表され、映画『The Hollywood Revue of 1929』でクリフ・エドワーズらが歌ったことで一気に人気を博しました。それから20年以上経った1952年、この曲の作詞者でもあったアーサー・フリードがMGMのプロデューサーとして、自身と相棒ブラウンのカタログ曲を元に企画したのが、ジーン・ケリー主演の名作ミュージカル映画『雨に唄えば』です。土砂降りの雨の中で傘を放り出し、水たまりを踏みしめながら踊るジーン・ケリーの名場面は映画史に残る名シーンとなり、この曲を不朽の名曲へと押し上げました。第二次世界大戦後にはデイヴ・ブルーベックやオスカー・ピーターソンら数々のジャズ・ミュージシャンにも取り上げられ、2004年にはAFI「アメリカ映画主題歌ベスト100」で第3位に選出されるなど、映画音楽とジャズの両方の歴史に名を刻む一曲です。
歌の情景・意味
雨が降っていても、心の中は晴れやかで、思わず歌いながら歩きたくなる——そんな屈託のない幸福感を歌った曲です。恋をしている喜びで、暗い雨空さえも味方に感じられる、という前向きな気持ちがまっすぐに表現されています。土砂降りの雨さえも「かかってこい」と受け止められるほどの幸せな心境が、明るく弾むようなメロディーに乗せて歌われる、聴くだけで元気が湧いてくるような一曲です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
※この曲は一般的なAABA32小節形式とは異なり、32小節のコーラスの後に24小節のヴァースが続くという、当時としては珍しい構成で書かれています。ここではコーラス部分とヴァース部分に分けて紹介します。
キー:G 拍子:4/4
晴れやかで弾むような明るい和音進行が、雨の中でも心が晴れやかな主人公の気持ちをよく表しています。
コーラス(前半)
▶ ポイント:「G→Em7→Am7→D7」というサークル状に進む親しみやすい和音進行が、軽快なステップを踏むような弾む雰囲気を作っています。ジャズのジャムセッションでも定番の進行です。
ヴァース(後半)
▶ ポイント:ヴァース部分ではサブドミナント方向への進行がやや増え、少し語りかけるような落ち着いた雰囲気になります。最後にD7で再びコーラスの明るさへと戻っていきます。
Nacio Herb Brown ネイシオ・ハーブ・ブラウン(1896–1964)
アメリカの作曲家。もとは不動産業やテーラー業で成功を収めていましたが、副業として作曲した楽曲がヒットしたことをきっかけに音楽の道へ転身しました。作詞家アーサー・フリードとのコンビで数々のMGMミュージカル映画の楽曲を手がけ、「Singin' In The Rain」のほか「You Were Meant for Me」「You Are My Lucky Star」など、ハリウッド黄金期を代表するスタンダードを数多く生み出しています。