Jazz Standard — 1973
センド・イン・ザ・クラウンズ
| 作詞 | Stephen Sondheim(スティーヴン・ソンドハイム) |
|---|---|
| 作曲 | Stephen Sondheim(スティーヴン・ソンドハイム) |
| 制作年 | 1973年 |
| 初演 | ブロードウェイ・ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』第2幕にて、グリニス・ジョンズが演じるデジレが歌唱 |
| キー | Eb(変ホ長調) |
| 拍子 | 3/4拍子(ワルツ)・ヴァース+ブリッジによる通作形式(一般的なAABA32小節形式ではない) |
「Send In The Clowns」は1973年、スティーヴン・ソンドハイムがミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』のために作詞・作曲した楽曲です。この作品はイングマール・ベルイマン監督の映画『夏の夜は三たび微笑む』を原作としており、劇中では往年の名女優デジレが、かつての恋人フレドリックとの再会と、その関係がすれ違い続けてきた皮肉を振り返りながら歌います。ソンドハイムは主演のグリニス・ジョンズの声域や歌唱の呼吸に合わせて曲を書いたと語っており、もともとは長いフレーズを避け、短い言葉を積み重ねる構成になっています。1973年にフランク・シナトラが、1975年にはジュディ・コリンズがカバーし全米チャート入り、グラミー賞「今年のレコード賞」も受賞したことで一気に広く知られるようになりました。以降、サラ・ヴォーン、バーブラ・ストライサンド、シャーリー・バッシーなど数多くの歌手に歌い継がれ、ミュージカル発の楽曲でありながらジャズ・ヴォーカルの定番曲として定着しています。
歌の情景・意味
タイトルの「道化師たちを呼んでちょうだい」は、サーカスの道化師のことではなく、物事がうまくいかなかったときに芸人たちを舞台に呼んで場をつなぐ、という演劇の慣習に由来する比喩です。人生の巡り合わせがことごとくすれ違ってしまった女性が、自嘲まじりに「まるで芝居が失敗したときのようね、道化師たちを呼んでちょうだい」とつぶやく、苦く切ないユーモアに満ちた歌です。かつて自分を求めていた相手にようやく心を開いた頃には、相手はもう別の人生を選んでいた——そんなタイミングのすれ違いを、静かな諦めと共に歌い上げます。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
※この曲は一般的なジャズ・スタンダードのAABA32小節形式ではなく、ヴァース(詩節)とブリッジが連なる通作形式で書かれています。ここでは前半のヴァースと中間のブリッジ部分に分けてコードを紹介します。
キー:Eb 拍子:3/4(ワルツ)
ゆったりとした3拍子に乗せて、切なさと諦めの入り混じった和音が静かに移り変わっていきます。
前半(ヴァース)
▶ ポイント:3拍子に乗って一歩ずつ階段を上るように和音が動いていきます。「Ebmaj7」の穏やかな響きから始まり、少しずつ緊張感を含んだ和音へと移っていく様子が、静かな回想の語り口とよく合っています。
中間部(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジでは一時的に別の調へ寄り道をし、「やっと心を開けたのに、もう遅かった」という歌詞の苦さを音楽的に表現しています。最後にもとの調へ戻り、静かな諦めとともに曲を締めくくります。
Ol' Blue Eyes Is Back
Frank Sinatra(フランク・シナトラ)
1973年 / Reprise
シナトラが一度引退した後に復帰して発表した、円熟のアルバム。深みのある歌声が聴けます。
Echoes of My Life
Mabel Mercer(メイベル・マーサー)
ヴォーカル作品
キャバレー歌手メイベル・マーサーが、語るように歌う名曲の数々。洗練された歌唱が魅力です。
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Stephen Sondheim スティーヴン・ソンドハイム(1930–2021)
アメリカのミュージカル作曲家・作詞家。『ウエスト・サイド物語』では作詞のみを手がけましたが、その後は自ら作詞・作曲の両方を担うようになり、『スウィーニー・トッド』『カンパニー』『リトル・ナイト・ミュージック』など数々の名作を世に送り出しました。知的で緻密な言葉選びと大胆な和声感覚で、20世紀後半のミュージカル界にもっとも大きな影響を与えた作家のひとりとされています。