Jazz Standard — 1932
セイ・イット・イズント・ソー
| 作詞 | Irving Berlin(アーヴィング・バーリン) |
|---|---|
| 作曲 | Irving Berlin(アーヴィング・バーリン) |
| 制作年 | 1932年 |
| 初演 | ラジオ番組でルディ・ヴァレー(Rudy Vallée)が歌い大ヒット。舞台やミュージカルからではなく、ラジオ発の楽曲として世に出た珍しいバーリン作品 |
| キー | Eb(変ホ長調。実演ではF等に移調されることもある) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節AABA形式 |
「Say It Isn't So」は1932年、アーヴィング・バーリンが不調の時期に書いた曲です。当時のバーリンは立て続けに作品が振るわず自信を失っており、この曲も一度は引き出しにしまい込んで発表を諦めかけていました。ところが専属スタッフのマックス・ウィンズロウがこの曲を気に入り、独断でラジオの人気歌手ルディ・ヴァレーに持ち込みます。ヴァレーが自身のラジオ番組で歌うと瞬く間に評判となり、ジョージ・オルセン楽団のレコードが全米1位を記録するなど、バーリンを再びヒットチャートの頂点へと押し上げました。舞台やミュージカルのために書かれたのではなく、ラジオという新しいメディアから生まれたヒット曲という点でも当時としては珍しい成功例です。切ない別れの予感を歌う「トーチソング」の代表作のひとつとして、その後も多くのジャズ・ポピュラー歌手に歌い継がれています。なお同じ曲名でホール&オーツやボン・ジョヴィのロック曲も存在しますが、本ページで扱うのは1932年のバーリン作品です。
歌の情景・意味
恋人が心変わりをしたらしいという噂を人づてに聞いてしまった主人公が、「そんなはずはないと言ってほしい」と切実に訴えかける歌です。まだ本人の口から直接聞いたわけではない、だからこそ噂を信じたくない、否定してくれさえすれば救われる——そんな揺れる胸の内が、シンプルな言葉の繰り返しで表現されています。派手な感情表現ではなく、静かに祈るような気持ちで歌われることの多い、しっとりとしたトーチソングです。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:Eb 形式:AABA(32小節)
切ない気持ちを表す短調的な響き(マイナーコード)と、すがるような気持ちの明るい響きが交互に現れるのが特徴です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:出だしの「Ebmaj7」は温かく落ち着いた響きです。そこから徐々に切なさを帯びた和音に移り、最後の「Bb7」でまたAセクションの頭に戻りたくなるような、後ろ髪を引かれる響きになっています。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジではやや遠い調へと寄り道をし、歌詞の「もし本当だったら」という不安な気持ちを音楽的に表現しています。最後の2小節で元のキーに戻る準備をし、再びAセクションの安心感へと着地します。
All or Nothing at All
Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)
1958年 / Verve
ビリー・ホリデイが晩年に残した、味わい深い歌唱の一枚。深い陰影のある歌声が胸に響きます。
In the Land of Hi-Fi
Dinah Washington(ダイナ・ワシントン)
1956年 / EmArcy
ダイナ・ワシントンの力強い歌声を、ビッグバンドの響きとともに楽しめる一枚です。
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Irving Berlin アーヴィング・バーリン(1888–1989)
ロシア帝国生まれ、幼少期に家族とアメリカへ移住したユダヤ系移民の作曲家。楽譜を正式に読み書きできなかったにもかかわらず、生涯で1500曲以上を作詞作曲し、「ホワイト・クリスマス」「あなたと踊る夜」「God Bless America」など数々のスタンダードを生み出しました。独学ながら鋭いメロディー感覚と時代を捉える言葉選びで、アメリカン・ポピュラーソングを代表する存在となりました。