Jazz Standard — 1927
ス・ワンダフル
| 作詞 | Ira Gershwin(アイラ・ガーシュウィン) |
|---|---|
| 作曲 | George Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン) |
| 制作年 | 1927年 |
| 初演 | ブロードウェイ・ミュージカル『Funny Face』にて、アステア兄妹(アデール・アステア、アレン・カーンズ)が歌唱 |
| キー | Eb(変ホ長調) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節AABA形式 |
「'S Wonderful」は1927年、ガーシュウィン兄弟(作曲:ジョージ、作詞:アイラ)が、フレッド・アステアとその姉アデールの共演によるブロードウェイ・ミュージカル『Funny Face』のために書いた楽曲です。この作品は前年に不評だった別のミュージカル『Smarty』を大幅に改訂したもので、アステア兄妹のキャスティングとわずか4曲だけが引き継がれ、そのうちの1曲がこの「'S Wonderful」でした。タイトルの「'S」は「It's」を口語的に省略した表記で、当時のアメリカのくだけた話し言葉を巧みに取り入れたアイラ・ガーシュウィンの言葉選びが光ります。「It's wonderful」では堅苦しすぎ、かといって発音しにくいというジレンマを、この省略形が見事に解決したのです。244回の公演を記録した成功作の代表曲となり、以降1951年の映画『巴里のアメリカ人』(ジーン・ケリー、ジョルジュ・ゲタリー)、1957年の映画『パリの恋人』(オードリー・ヘプバーン、フレッド・アステア)など数々の映画でも使われました。ジャズ・ヴォーカルの分野でもエラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、ダイアナ・クラールなど数え切れないほどのアーティストに取り上げられ、ガーシュウィン兄弟の代表的なラブソングのひとつとして愛され続けています。
歌の情景・意味
恋人が自分を想ってくれている、というただそれだけのことに、素直に驚き、心から喜んでいる歌です。「ワンダフル」「マーヴェラス」という感嘆の言葉を繰り返しながら、まるで信じられないという表情で幸福を噛みしめる様子が描かれます。複雑な物語や比喩を持たず、恋する喜びをストレートに、しかし洗練された言葉遣いで表現するのが特徴で、聴く人の心もそのまま軽やかにしてくれる、ガーシュウィンらしい愛らしいラブソングです。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:Eb 形式:AABA(32小節)
ゆったりと歌心のある、親しみやすく洗練された和音進行が特徴です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:「Ebmaj7→Edim7→Fm7」という半音進行を含む洒脱な流れが、驚きと喜びを同時に表す歌詞の雰囲気とよく合っています。ジャズ・ミュージシャンにも人気の高い、味わい深い進行です。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジでは「Ab7」の一瞬の彩りが加わり、「口づけ」という歌詞の場面にふさわしい甘やかな響きが生まれます。最後は再びAセクションの心地よい流れへと戻ります。
Helen Merrill with Strings
Helen Merrill(ヘレン・メリル)
編集盤
ヘレン・メリルがストリングスの伴奏で歌う、しっとりとしたバラード集。ささやくような歌声が魅力です。
Anita O'Day Sings the Winners
Anita O'Day(アニタ・オデイ)
1958年 / Verve
ジャズ誌の人気投票で選ばれた名曲を、アニタ・オデイが歌うヴァーヴ期の一枚。切れ味のよいスウィングが楽しめます。
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George Gershwin ジョージ・ガーシュウィン(1898–1937)
アメリカの作曲家。ロシア系ユダヤ人移民の家庭に生まれ、クラシック音楽とジャズ、ポピュラー音楽を融合させた独自の作風で知られています。「Rhapsody in Blue」「An American in Paris」などのクラシック作品と並行して、兄アイラとのコンビで数々のミュージカル・ナンバーを作曲し、「I Got Rhythm」「Summertime」など今日でもジャズ・スタンダードとして愛される名曲を数多く残しました。38歳という若さで脳腫瘍のため急逝しています。