Jazz Standard — 1936
ポインシアナ
| 作詞 | Buddy Bernier(バディ・ベルニエ) |
|---|---|
| 作曲 | Nat Simon(ナット・サイモン) |
| 制作年 | 1936年(原題「Poinciana (Song of the Tree)」) |
| 初演 | 1936年発表。1958年のアーマッド・ジャマル・トリオ版で広く知られるようになった |
| キー | ヘ長調(F) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節(AABA形式) |
「Poinciana」は1936年、作詞バディ・ベルニエ、作曲ナット・サイモンのコンビによって書かれた曲で、正式なタイトルは「Poinciana (Song of the Tree)」といいます。ポインシアナとは真っ赤な花を咲かせる南国の樹木の名前で、原曲はこの花にまつわる甘く物憂げなラブソングでした。歌としてよりもむしろ、1958年にピアニストのアーマッド・ジャマルがトリオで録音したインストゥルメンタル版によって世界的に有名になり、ゆったりとしたラテン風のリズムと余白を生かした演奏が「ジャズにおける間の美学」の代表例として今なお語り継がれています。歌詞の存在自体はあまり知られていませんが、原曲にはしっかりとしたロマンティックな詞がついています。
歌の情景・意味
歌詞は、南国の庭に咲くポインシアナの真っ赤な花の下で、かつて愛を語り合った恋人を思い出す情景を描いています。花は毎年変わらず咲き続けるのに、そばにいた人はもういない――そんな切なさが、南国の温かい風景と対比するように歌われます。派手な言葉は使わず、木や花、風といった自然の描写を通して、失われた恋の記憶を静かに手繰り寄せていくような詞です。ジャマルの演奏で親しんだ方にとっては、あの印象的なピアノの間合いの奥に、実はこうした物語が隠れていたのだと知ると、また違った味わいで聴こえてくるかもしれません。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
コード進行
キー:ヘ長調(F) 形式:AABA(32小節)
ジャマル版で有名なラテン風の落ち着いたリズムに乗せやすい、シンプルなII-V進行が基本です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:Fmaj7を軸に、Gm7とC7がゆったり行き来するだけのシンプルな進行です。ジャマルの演奏のように、音数を少なくして「間」を楽しむ弾き方がこの曲にはよく合います。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジでは一度Cメジャーの響きへ寄り道し、そこから元のFへ戻ってきます。曲全体を通して和音の動きが少ないぶん、リズムと余白の取り方で表情をつける曲です。
Vocalese
Manhattan Transfer(マンハッタン・トランスファー)
1985年 / Atlantic
ジャズの名演奏に歌詞をつけて歌う「ヴォーカリーズ」を主題にした、マンハッタン・トランスファーの名盤です。
Next Album
Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ)
1972年 / Milestone
ロリンズが多彩なスタイルを披露した70年代の作品。力強いテナーの存在感が際立ちます。
名盤・名演のリンクはAmazonアソシエイト・リンクです。
Amazonのアソシエイトとして、ジャズ・スタンダード事典は適格販売により収入を得ています。
Nat Simon ナット・サイモン(1900–1979)
アメリカの作曲家。1930〜50年代を中心にティン・パン・アレーで活躍し、親しみやすいメロディの楽曲を数多く手がけました。「Poinciana」のほか「The Old Master Painter」なども代表作として知られています。作詞家バディ・ベルニエとのコンビ作は、南国的な題材や情緒的な旋律を得意としたことで知られます。