Jazz Standard — 1943
ムーンライト・イン・バーモント
| 作詞 | John Blackburn(ジョン・ブラックバーン) |
|---|---|
| 作曲 | Karl Suessdorf(カール・サスドルフ) |
| 制作年 | 1943年 |
| 初演 | 1944年、マーガレット・ウィッティングの録音により広く知られるようになった |
| キー | Eb(一般的な演奏キー) |
| 拍子 | 4/4拍子・変則26小節形式(押韻のない独特な歌詞構成) |
「Moonlight in Vermont」は、1943年にカール・サスドルフが作曲し、ジョン・ブラックバーンが詞をつけた曲です。多くのジャズスタンダードが「アイ・ラブ・ユー」のような言葉を繰り返すのに対し、この曲の歌詞には一度も「愛している」という直接的な言葉が出てきません。その代わりに、月明かりに照らされたバーモント州の風景を一つひとつ丁寧に描くことで、静かな美しさとロマンティックな雰囲気を伝えています。また、歌詞には英語の詩でよく使われる「韻(リズムを合わせる言葉のつながり)」が、ほとんど使われていないという珍しい特徴もあります。1944年にマーガレット・ウィッティングが録音したことで世に広まり、その後エラ・フィッツジェラルドやウィリー・ネルソンなど、ジャンルを超えた多くの歌手によって歌われ続けています。
歌の情景・意味
この歌は、アメリカ北東部にあるバーモント州の、静かな田舎の夜の風景を描いています。木々に降りる霧、ペニーロイヤルミントという小さな植物の香り、星空、そして遠くから聞こえる鳥の鳴き声。歌詞はそうした自然の情景を、まるで一枚の絵を見せるように順番に紹介していきます。直接「あなたを愛している」とは言いませんが、こうした美しい風景を見ながら、誰かのことを思っている気持ちが静かに伝わってくるのが、この歌の魅力です。にぎやかな都会の生活から少し離れて、月明かりの下で穏やかな時間を過ごす、そんなひとときを想像させてくれる一曲です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:Eb 形式:変則26小節(A-A-B-Cに近い構成)
静かで透明感のある響きが特徴で、テンションコードが多く使われています。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:Ebmaj7からFm7、Gm7へと一段ずつ階段を上るように動いていくのが特徴です。この「階段のような動き」が、歌詞に描かれる夜の風景が少しずつ移っていく様子と重なって聴こえます。Bb7からEbmaj7に戻る部分は、ほっと一息つくような落ち着いた響きです。
B セクション(後半部)
▶ ポイント:Abmaj7からDb7へ移るところで、曲の景色が一段と広がるような響きが生まれます。これは「遠くの景色をふと眺める」ような効果で、歌詞の中で次々と新しい風景が紹介されていく流れにぴったり合っています。最後はFm7・Bb7を通って、おなじみのEbmaj7に静かに着地します。
Ella and Louis
Ella Fitzgerald & Louis Armstrong(エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング)
1956年 / Verve
二大スターが共演した、デュエット・アルバムの金字塔。対照的な二人の声が、温かく溶け合います。
Moonlight in Vermont Live
Gerry Mulligan(ジェリー・マリガン)
ライヴ録音
ジェリー・マリガンのカルテットによるライヴ。軽やかなバリトンが穏やかに歌います。
Jutta Hipp with Zoot Sims
Jutta Hipp & Zoot Sims(ユタ・ヒップ&ズート・シムズ)
1956年 / Blue Note
ドイツ出身のピアニスト、ユタ・ヒップがズート・シムズと組んだブルーノートの作品です。
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Karl Suessdorf カール・サスドルフ(1911–1982)
アメリカ・カリフォルニア州出身の作曲家で、もともとはギター奏者・編曲家として活動していました。「Moonlight in Vermont」は彼の代表作として知られ、押韻を使わずに自然の風景を描くという独創的な歌詞作りに合わせて、静かで美しいメロディを書き上げました。その後も映画やテレビ向けの音楽制作に携わりましたが、ジャズの世界では何よりもこの一曲によって、その名が記憶され続けています。