Jazz Standard — 1928(英語版:1954)
マック・ザ・ナイフ
| 作詞 | Bertolt Brecht(バートルト・ブレヒト/独語原詞)、英語詞:Marc Blitzstein(マーク・ブリッツスタイン) |
|---|---|
| 作曲 | Kurt Weill(クルト・ヴァイル) |
| 制作年 | 1928年(英語版は1954年) |
| 初演 | ベルリンにて上演された舞台作品「三文オペラ」(Die Dreigroschenoper)の劇中歌として1928年8月31日初演 |
| キー | ハ長調(演奏によっては1コーラスごとに半音ずつ転調) |
| 拍子 | 4/4拍子・16小節×2部構成 |
「Mack the Knife」は、1928年にベルリンで初演された舞台作品「三文オペラ」の中で歌われた曲が原型です。作曲はクルト・ヴァイル、原詞はバートルト・ブレヒトによるドイツ語で書かれました。もともとは物騒な裏社会の男を淡々と語る、皮肉のきいた劇中歌でしたが、1950年代にアメリカで英語詞が付けられ、ルイ・アームストロングやボビー・ダーリンの歌唱によって大ヒットし、世界中で親しまれるジャズスタンダードとなりました。軽快でありながらどこか不穏な雰囲気を持つメロディーが、この曲最大の魅力です。歌詞の内容とは裏腹に、演奏はスウィング感あふれる明るい仕上がりになっていることが多く、そのギャップも聴きどころのひとつです。
歌の情景・意味
歌詞は、街の裏通りに現れる謎めいた男「マッキー」について、通りすがりの人々が噂話をするように語っていく形で進みます。彼のポケットにはいつもナイフが忍ばせてあり、事件が起きたその近くには決まって彼の姿があった、というような調子で、直接的な描写を避けながらも不穏な影をちらつかせるのが特徴です。おしゃれな身なりで街を歩く彼の正体を誰も本当には知らない――そんなミステリアスな雰囲気を、軽快なスウィングのリズムに乗せて描いているところが、この曲のユニークな魅力になっています。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:C 形式:ヴァース形式(16小節×2)
シンプルな進行の中に一時的な転調(セカンダリー・ドミナント)を挟むのが特徴で、ジャズ演奏では1コーラスごとに全体が半音上へ転調していく「モジュレーション・アレンジ」が定番になっています。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:最初の4小節はCコードだけが続くシンプルな作り。5〜6小節目でC7からFへ進むところが、曲全体に明るいスウィング感を生み出しています。
B セクション(9〜16小節)
▶ ポイント:A7・D7・G7と、次々に「その場だけのドミナント」が現れるのが後半の特徴です。難しく考えず、コロコロと表情が変わっていく様子を楽しんで聴くとよいでしょう。
Mack the Knife: Ella in Berlin
Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)
1960年 / Verve
歌詞を忘れたエラが即興で歌い切った「マック・ザ・ナイフ」で有名な、ベルリンでのライヴ名盤です。
The Verve Years 1957–1962
Anita O'Day(アニタ・オデイ)
編集盤
アニタ・オデイがヴァーヴで残した録音をまとめた作品。小気味よいスウィングとスキャットが楽しめます。
Sonny Rollins Vol.2
Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ)
1957年 / Blue Note
J.J.ジョンソンやセロニアス・モンクらと録音したブルーノートの一枚。ロリンズの豪快なテナーが冴えます。
The Best of George Shearing
George Shearing(ジョージ・シアリング)
編集盤
「バードランドの子守唄」の作者シアリングのベスト盤。洗練されたブロック・コードの響きが魅力です。
Ben Webster Meets Oscar Peterson
Ben Webster & Oscar Peterson(ベン・ウェブスター&オスカー・ピーターソン)
1959年 / Verve
ウェブスターの温かいテナーと、ピーターソン・トリオの共演。バラードの美しさが際立つ名盤です。
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Kurt Weill クルト・ヴァイル(1900–1950)
ドイツ生まれの作曲家。劇作家ベルトルト・ブレヒトと組んだ「三文オペラ」をはじめ、クラシックとポピュラー音楽の垣根を越えた作品で知られました。ナチス政権の台頭とともにアメリカへ亡命し、晩年はブロードウェイ・ミュージカルの分野でも活躍。異なる音楽の世界を軽やかに行き来した、20世紀を代表する作曲家のひとりです。