Jazz Standard — 1931
ダンシング・イン・ザ・ダーク
| 作詞 | Howard Dietz(ハワード・ディーツ) |
|---|---|
| 作曲 | Arthur Schwartz(アーサー・シュワルツ) |
| 制作年 | 1931年 |
| 初演 | ブロードウェイのレビュー「The Band Wagon(バンド・ワゴン)」(1931年)にて発表 |
| キー | ハ長調(C) |
| 拍子 | 4/4拍子・48小節構成(通常のAABA32小節形式とは異なる変則的な形式) |
「Dancing in the Dark」は1931年、作曲家アーサー・シュワルツと作詞家ハワード・ディーツのコンビによって書かれ、ブロードウェイのレビュー・ショー「The Band Wagon」の中で発表されました。当時としては珍しく、いわゆるサビにあたる部分に曲名の言葉が一度も出てこない、変則的な構成を持つバラードとして知られています。深く静かなメロディーラインと、夜の闇の中で踊ることに人生のはかなさを重ね合わせた詩的な歌詞が高く評価され、発表直後から多くの歌手や楽団に取り上げられる人気曲となりました。1953年には同名のミュージカル映画が制作され、フレッド・アステアとシド・シャリースが踊るシーンに使われたことでも広く知られています。以来、フランク・シナトラをはじめとする数多くのジャズ・ヴォーカリストやビッグバンドがこの曲を録音し、ジャズ・スタンダードの定番として今も愛され続けています。
歌の情景・意味
歌詞の主人公は、暗闇の中で音楽に身をまかせて踊りながら、日々の悩みや時の流れの速さについて思いを巡らせています。「なぜこんなにも時は早く過ぎていくのだろう」と問いかけながらも、音楽が鳴り続ける限り、その腕の中にいる相手と踊り続けていたいという願いが描かれています。明るい光の下ではなく、あえて「暗闇の中」という設定にすることで、将来への不安や孤独感を抱えながらも、今この瞬間の温もりだけを頼りに踊り続ける、切なくも美しい大人の恋の情景が浮かび上がってきます。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:C 形式:変則48小節形式(一般的なAABA32小節とは異なる)
穏やかな長調のコードの中に、短調的な響きの経過コードがさりげなく織り込まれているのが特徴です。
Aセクション(1〜8小節)
▶ ポイント:出だしのCmaj7は「穏やかな部屋の明かり」のような落ち着いた響きです。そこから徐々にコードが変化し、少し切ない色合いが混ざっていきますが、これは歌詞の「悩みごと」を音で表しているような部分と言えます。
Bセクション(後半・展開部)
▶ ポイント:FmからFm6へ移る部分は、明るい響きの中にふっと影がさすような瞬間で、この曲全体に漂う「切なさ」を象徴する聴きどころです。最後はゆっくりとCmaj7に戻り、静かに落ち着いて曲を締めくくります。
Dancing in the Dark
Frank Sinatra(フランク・シナトラ)
編集盤
シナトラのスタンダード録音を集めた一枚。洗練された歌い回しで、大人のロマンスを感じさせます。
Art Tatum Box Set
Art Tatum(アート・テイタム)
編集盤
テイタムの録音をまとめて楽しめるボックス・セット。ソロ・ピアノの頂点と言われる演奏を存分に味わえます。
Everybody Digs Bill Evans
Bill Evans(ビル・エヴァンス)
1958年 / Riverside
ビル・エヴァンス初期の代表作。「ピース・ピース」など、繊細で詩的なピアノの世界が広がります。
Somethin' Else
Cannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)
1958年 / Blue Note
マイルス・デイヴィスも参加した、ブルーノートを代表する名盤。「枯葉」の名演でも知られます。
Dancing in the Dark
Tierney Sutton(ティアニー・サットン)
編集盤
ティアニー・サットンの洗練された歌声が、夜のダンスフロアの陰影あるロマンスを情感豊かに描き出します。
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Arthur Schwartz アーサー・シュワルツ(1900–1984)
アメリカの作曲家で、もともとは弁護士として働きながら音楽の道を志した異色の経歴を持ちます。作詞家ハワード・ディーツとの長年にわたる名コンビで知られ、ブロードウェイのレビューやミュージカルのために数多くの楽曲を生み出しました。「Dancing in the Dark」のほか「You and the Night and the Music」などの名曲も手がけ、洗練されたメロディーと都会的な雰囲気を持つ楽曲群は、後年ジャズ・ミュージシャンたちによって繰り返し演奏される定番レパートリーとなりました。