Jazz Standard — 1947
バット・ビューティフル
| 作詞 | ジョニー・バーク(Johnny Burke) |
|---|---|
| 作曲 | ジミー・ヴァン・ヒューゼン(Jimmy Van Heusen) |
| 制作年 | 1947年 |
| 初演 | 映画『南国珍道中(Road to Rio)』にてビング・クロスビーが歌唱 |
| キー | Gメジャー |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節ABAC形式・ミディアム・バラード |
「But Beautiful」は、作曲家ジミー・ヴァン・ヒューゼンと作詞家ジョニー・バークによる1947年の作品です。二人は20年近くにわたりコンビを組み、80曲以上を世に送り出した名コンビとして知られています。この曲は同年公開の映画『南国珍道中(Road to Rio)』のために書き下ろされ、主演のビング・クロスビーが恋人ドロシー・ラムーア演じる人物に向けて歌う、感情のこもった一場面で披露されました。翌1948年にはフランク・シナトラ、ビング・クロスビー自身、マーガレット・ホイティングらがそれぞれヒットチャートに送り込み、たちまちスタンダードとしての地位を確立しました。後年、ビリー・ホリデイが最晩年のアルバム『Lady in Satin』(1958年)で聴かせた、深い哀愁を湛えた歌唱も特に有名です。
歌の情景・意味
この歌は、「愛とは何か、誰にも説明できない」という問いかけから始まります。愛は時に喜ばしく、時に悲しく、常に不思議で、決して論理では割り切れないもの。でも、それでもなお「美しい」のだと、主人公は静かに語ります。恋をすると、人は時として愚かに振る舞ってしまう。理屈に合わないことをしてしまう。けれど、その不器用さも含めて愛おしいのだという、人生の機微をそっと包み込むような歌詞です。激しい情熱というより、人生を重ねた者だけが感じ取れる、しみじみとした愛の真実が描かれています。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:Gメジャー 形式:ABAC(32小節)
ヴァン・ヒューゼンらしい、流れるように滑らかなコード進行が特徴です。とくに「Cメジャー → C#ディミニッシュ → Dメジャー」のような半音階的な動きが、曲全体に優雅な揺らぎを与えています。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:「Cmaj7 → C#dim7 → Dmaj7」という半音ずつ上昇する動きは、ピアノの鍵盤を一歩ずつ上っていくような感覚を生み出します。「Love is funny, or it's sad」という、愛の様々な顔をひとつずつ挙げていく歌詞の流れと、ぴったり重なり合っています。
B セクション(後半・Cパート)
▶ ポイント:「Em7 → A7 → Dmaj7」は典型的な「ツーファイブワン」進行で、ジャズらしい落ち着いた解決感を生み出します。「もしあなたが私のものなら」という、心の内を打ち明けるクライマックスの部分で、音楽が静かに着地していくような安心感を聴き手に与えます。
Open Sesame
Freddie Hubbard(フレディ・ハバード)
1960年 / Blue Note
トランペット奏者フレディ・ハバードのブルーノート初リーダー作。若さあふれる輝かしい音色と、バラードでの歌心が光ります。
But Beautiful
Nancy Wilson(ナンシー・ウィルソン)
1969年 / Capitol
表現力豊かな歌声で人気を集めたナンシー・ウィルソンが、小編成のジャズ・コンボとスタンダードを歌った一枚。しっとりとした大人の名唱です。
But Beautiful
Stan Getz & Bill Evans(スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス)
1974年録音 / Fantasy
ゲッツのテナーサックスとエヴァンスのピアノが織りなす、美しく静謐な即興演奏の名盤です。
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Jimmy Van Heusen ジミー・ヴァン・ヒューゼン(1913–1990)
本名エドワード・チェスター・バブコック。アメリカ・ニューヨーク州シラキュース出身の作曲家で、映画音楽の分野で四度のアカデミー賞作曲賞を受賞した、20世紀を代表するソングライターの一人です。作詞家ジョニー・バーク、後にはサミー・カーンとのコンビでも知られ、洗練されたメロディラインと、ジャズの語法を取り入れた巧みなコード進行によって、数多くのスタンダードナンバーを世に残しました。