Jazz Standard — 1946
ボーン・トゥ・ビー・ブルー
| 作詞 | メル・トーメ/ロバート・ウェルズ(Mel Tormé / Robert Wells) |
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| 作曲 | メル・トーメ/ロバート・ウェルズ(Mel Tormé / Robert Wells) |
| 制作年 | 1946年 |
| 初演 | メル・トーメ&サニー・バーク楽団(1946年録音) |
| キー | Cメジャー |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節AABA形式・ミディアム〜スロー・トーチソング |
「Born to Be Blue」は、1946年に歌手メル・トーメが作曲家ロバート・ウェルズと共作したトーチソング(失恋の悲しみを歌う曲)です。当時まだ20歳だったトーメ自身がサニー・バーク楽団とともに初録音し、洗練された大人びた歌いぶりで注目を集めました。曲名にある「ブルー(blue)」は英語で「憂鬱」「物悲しい」という意味も持ち、自分は生まれつき不運な星の下にいる、幸せにはなれない運命なのだという、どこか達観したような切なさが歌詞の核となっています。1950年代半ば以降、多くの歌手や器楽奏者によって取り上げられるようになり、なかでもトランペット奏者チェット・ベイカーが1964年のアルバム『Baby Breeze』で聴かせた演奏は、この曲を代表する名演として広く知られるようになりました。
歌の情景・意味
この歌の主人公は、自分は最初から「ブルー(憂鬱)であるように生まれついた」のだと静かに語ります。世の中には幸運に恵まれ、何不自由なく暮らす人もいるけれど、自分にはそうした幸せは縁がないものなのだ、と。空に浮かぶ黄色い月を見ても、自分にはその輝きが見えない――そんな比喩を通して、満たされない気持ちが描かれます。後半では、かつて出会った恋人との思い出が語られ、その人と過ごした時間だけは確かに幸せだったと振り返ります。嘆き悲しむというより、自分の運命を静かに受け入れながらも、過去の幸福な記憶を大切に抱きしめている――そんな、大人の哀愁が漂う一曲です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:Cメジャー 形式:AABA(32小節)
セカンダリー・ドミナント(一時的な経過のドミナントコード)が随所に使われ、なめらかな半音の動きで次々とコードが移り変わっていきます。トーチソングらしい、ため息のような揺れが特徴です。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:出だしのC7からD♭7への動きは「裏コード」と呼ばれる技法で、本来のドミナントコードの代わりに、半音上のコードを使うことで、より物憂げで都会的な響きを生み出しています。「Some folks were meant to live in clover」という歌詞の、どこか諦めにも似た余裕のある語り口と重なります。
B セクション(ブリッジ)
▶ ポイント:ブリッジでは「Fm7 → B♭7 → E♭maj7」という、いわゆる「ツーファイブワン」進行が現れます。これは「あなたに出会ったとき、世界は明るく晴れやかだった」という、過去の幸福な思い出を語る場面に対応しており、曲全体の中でひときわ温かみのある響きを作り出しています。
Baby Breeze
Chet Baker(チェット・ベイカー)
1965年 / Limelight
ベイカーの憂いを帯びたトランペットとボーカルが、この曲の持つ切なさを繊細に表現しています。
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Mel Tormé メル・トーメ(1925–1999)
アメリカ・イリノイ州シカゴ出身の歌手・作曲家・俳優・著述家。澄んだ柔らかな声質から「ベルベット・フォグ(天鵞絨の霧)」の愛称で親しまれました。スキャットを駆使した卓越した歌唱技術と、優れた作曲家としての才能を併せ持ち、「The Christmas Song」をはじめ数々の名曲を世に送り出しました。生涯にわたり第一線で活躍を続けた、20世紀アメリカン・ポピュラー音楽を代表する存在の一人です。