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Jazz Standard — 1931

Between the Devil and the Deep Blue Sea

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ビトウィーン・ザ・デヴィル・アンド・ザ・ディープ・ブルー・シー

作詞Ted Koehler(テッド・コーラー)
作曲Harold Arlen(ハロルド・アーレン)
制作年1931年
初演コットン・クラブの舞台『Rhyth-Mania』(1931年)で発表
キーF(ヘ長調)
拍子4/4拍子・AABA形式(32小節)

「Between the Devil and the Deep Blue Sea」は、1931年にニューヨークの伝説的なナイトクラブ、コットン・クラブの舞台のためにハロルド・アーレンとテッド・コーラーが書いた一曲です。タイトルの「悪魔と深い青い海の間」という言葉は、もともと「どちらを選んでも苦しい状況」を意味する英語の慣用句で、選択を迫られる切ない心情をそのまま曲名にしています。発表当初から人気を集め、1930年代にはキャブ・キャロウェイやキャスケード・スターズが取り上げ、その後も世代を超えて多くのジャズ歌手・演奏家に愛され続けてきました。シンプルながら印象的なメロディーラインと、心の葛藤を巧みに描いた歌詞のバランスが、長く歌い継がれる理由となっています。

歌の情景・意味

この歌の主人公は、ある相手への想いを諦めようとしても諦められず、心の中で苦しい板挟みの状態にあります。「ここに留まれば苦しみ、離れていけばそれもまた苦しい」――まるで「悪魔」と「深い海」のどちらを選んでも逃げ場のない状況のように、自分の恋心をどうすることもできずに揺れ続けているのです。曲全体に流れるのは深刻な悲しみではなく、「分かっていても、どうにもならない」という、誰もが一度は経験したことのある恋の苦しさへの共感です。だからこそ、時代を超えて多くの人の心に響き続けています。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

I want to leave, but the leaving seems unkind
I want to stay, but I'm losing my own mind
Caught in a current I cannot control
Torn down the middle, body and soul
If I go forward, there's danger ahead
If I turn backward, there's sorrow instead
No matter which way this heart wants to flee
It's the devil on one side, the deep blue sea
They told me to choose with a clear, steady head
But how do you choose between love and the dread
I'm weary of standing here, helpless and weak
Caught in the middle, no shore I can reach
So I'll stay right here, wherever that leads
Between the devil and the deep blue sea

キー:F 形式:AABA(32小節)
マイナーコードとメジャーコードが交互に現れ、「進むも戻るも苦しい」という板挟みの心情を音で表しています。

A セクション(1〜8小節)

Fmaj7
Dm7
Gm7
C7
Fmaj7
Dm7
Gm7
C7

▶ ポイント:FmajとDm7という、明るさと切なさを併せ持つ二つの和音が交互に行き来します。これは「離れたいけれど留まりたい」という、ふたつの気持ちの間で揺れる様子をそのまま表しているような進行です。聴くたびに、その揺れの心地よさに引き込まれます。

B セクション(ブリッジ)

Bbm7
Eb7
Abmaj7
Dm7
Gm7
C7
Fmaj7
C7

▶ ポイント:いったんBbm7という曇った響きの和音に流れ込み、そこから一旦遠くの調へ「裏コード」的に転調していきます。これは「前に進めば危険、後ろに戻れば悲しみ」という、どちらに行っても安心できない緊張感を音楽的に描いた部分です。

1

Plays and Sings

Matt Dennis(マット・デニス)

1953年 / Kapp

作曲家としても知られるマット・デニスが、ピアノの弾き語りでスタンダードを披露したクラブでのライブ録音。さりげなく粋な歌い口が魅力です。

2

Sings for Only the Lonely

Frank Sinatra(フランク・シナトラ)

1958年 / Capitol

ネルソン・リドルの編曲で、孤独と失恋をテーマにまとめたシナトラ屈指のバラード・アルバム。深く沈んだ歌声が胸に迫ります。

3

The Four Freshmen and 5 Trombones

The Four Freshmen(フォー・フレッシュメン)

1955年 / Capitol

4人の澄んだコーラスに、5本のトロンボーンの柔らかな響きを重ねた人気作。モダンなハーモニーが今も新鮮に聴こえます。

4

Chris in Person

Chris Connor(クリス・コナー)

1959年 / Atlantic

クリス・コナーがニューヨークのクラブで行ったライブの記録。クールでハスキーな歌声と、クラブならではの親密な空気が味わえます。

5

Fontessa

Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)

1956年 / Atlantic

MJQのアトランティック移籍第1作。クラシックの技法も取り入れた気品あるサウンドが、この楽団の個性をよく表しています。

6

Tommy Flanagan Plays the Music of Harold Arlen

Tommy Flanagan(トミー・フラナガン)

編集盤

フラナガンのピアノが、アーレン作品の持つ洗練された和声美を丁寧に紐解いていく味わい深い一枚です。

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Harold Arlen ハロルド・アーレン(1905–1986)

アメリカの作曲家で、「Stormy Weather」「Over the Rainbow」「Come Rain or Come Shine」など数々のジャズスタンダードを生み出した名手。ニューヨークのコットン・クラブで活動した経験を活かし、ブルースの哀感とミュージカルの華やかさを融合させた独自の作風で知られています。作詞家テッド・コーラーとの黄金コンビによる作品も多く、20世紀アメリカ音楽史に欠かせない存在です。