Jazz Standard — 1953
ボウブルズ・バングルズ・アンド・ビーズ
| 作詞・作曲 | Robert Wright & George Forrest(ロバート・ライト&ジョージ・フォレスト) |
|---|---|
| 制作年 | 1953年 |
| 初演 | 1953年、ブロードウェイ・ミュージカル『Kismet(キスメット)』にて初演。同作は1954年のトニー賞最優秀ミュージカル賞を受賞した |
| キー | C major(楽譜原調・セクションごとに長3度上へ転調する珍しい構成) |
| 拍子 | 4/4拍子(原曲のミュージカル版は3/4拍子のワルツ)・AA'BA+コーダの変則形式 |
「Baubles, Bangles and Beads」は1953年、ブロードウェイ・ミュージカル『Kismet(キスメット)』のために、作詞・作曲家コンビのロバート・ライトとジョージ・フォレストによって書かれた一曲です。この『Kismet』という作品自体が、ロシアの作曲家アレクサンドル・ボロディンの楽曲を基にしており、この曲も彼の弦楽四重奏曲第2番の第2楽章の旋律を巧みに編曲して生まれました。物語の中では、市場の商人たちが若い娘マルシナーに向けて、安物の装飾品(ボウブル=安飾り、バングル=腕輪、ビーズ=数珠玉)を売り込む場面で歌われます。ミュージカルは583回の上演を記録し、1954年のトニー賞最優秀ミュージカル賞を受賞する大成功となりました。この曲は、各セクションが長3度ずつ上に転調していくという非常に技巧的な構造を持ち、ジャズミュージシャンたちの間でその美しい旋律と高度なハーモニーが特に高く評価されています。1954年にはペギー・リーの録音が最も売れたバージョンとなり、フランク・シナトラなど多くの歌手にも歌われる定番曲となりました。
歌の情景・意味
この歌は、中東の賑やかな市場(バザール)を舞台に、商人たちが安価な装飾品を売り歩く場面を描いています。「ボウブル、バングル、ビーズ」というタイトルの言葉は、いずれも価値の低い、ありふれた飾り物を指す言葉です。商人たちはこれらの安物を、まるで宝石のように魅力的に語りながら、若い娘の心を惹きつけようとします。きらきらと音を立てる腕輪や首飾りが、明るく軽やかな旋律とともに、いかにも市場らしい賑わいと活気を生み出しています。本物の宝石ではなくとも、それを身につける喜びや、若さゆえの軽やかな心の弾みを、楽しく華やかに歌い上げる一曲です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
A セクション(1)
A' セクション(2・転調)
B セクション(ブリッジ・さらに転調)
A セクション(3・元の調に戻る)
キー:C major(各セクションごとに長3度上へ転調) 形式:AA'BA+コーダ
セクションが進むたびに調が長3度(例:C→E→Ab)ずつ上がっていくという、非常に技巧的な構造が最大の特徴です。
A セクション(Cメジャー)
▶ ポイント:Cメジャーの明るい響きから始まり、段階的に上昇していくベースラインが特徴です。Ebdim7(ディミニッシュ)が、次のセクションへの転調を予感させる、わずかな緊張感を生み出しています。
A' セクション(Eメジャーへ転調)
▶ ポイント:Aセクションと全く同じパターンが、長3度上のEメジャーで繰り返されます。ぱっと景色が変わるような鮮やかな転調が、市場の装飾品が次々と輝いて見える様子をうまく表現しています。
Back in Town
Mel Tormé & The Mel-Tones(メル・トーメ&メル・トーンズ)
1959年 / Verve
メル・トーメが、かつて組んでいたコーラス・グループのメル・トーンズと再会して録音した一枚。洗練されたハーモニーが心地よく響きます。
Affinity
Oscar Peterson(オスカー・ピーターソン)
1962年 / Verve
ピーターソン・トリオ黄金期の一枚。スタンダードを軽やかに、しかし堂々とスウィングさせる、トリオの一体感が見事です。
The Poll Winners
Cannonball Adderley & Ray Brown(キャノンボール・アダレイ&レイ・ブラウン)
編集盤
人気投票の上位常連だった名手たちが顔をそろえたセッション。キャノンボールの朗々としたアルトと、レイ・ブラウンの太いベースが聴きどころです。
You're Mine You
Sarah Vaughan(サラ・ヴォーン)
1997年リマスター / EMI
サラ・ヴォーンの豊かで色彩豊かな歌声が、この曲の華やかで少しエキゾチックな魅力を引き出しています。
名盤・名演のリンクはAmazonアソシエイト・リンクです。
Amazonのアソシエイトとして、ジャズ・スタンダード事典は適格販売により収入を得ています。
Robert Wright & George Forrest ロバート・ライト&ジョージ・フォレスト(1914–2005/1915–1999)
ロバート・ライトとジョージ・フォレストは、共に高校時代から作曲家コンビとして活動を始め、生涯にわたって数々のミュージカルを共作したアメリカの作詞・作曲家チームです。彼らは、クラシック音楽の名旋律をポピュラーソングへと編曲することを得意とし、『Kismet』ではロシアの作曲家ボロディンの楽曲を基に、数々のヒット曲を生み出しました。「Baubles, Bangles and Beads」のほか、同作からは「Stranger in Paradise」も大きな成功を収めています。クラシックの素材を生かしながらも、独自の洗練された世界観を作り上げる、稀有な才能を持つコンビでした。