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Jazz Standard — 1926

Basin Street Blues

お気に入り

ベイスン・ストリート・ブルース

作詞・作曲Spencer Williams(スペンサー・ウィリアムス)
制作年1926年(出版)
初演1928年、Louis Armstrong and His Hot Fiveが録音し広く知られるようになる。歌詞は後にGlen Grayのバンドとの共演で付加された
キーB♭長調(B♭ major)
拍子4/4拍子・32小節・AABA形式

「Basin Street Blues(ベイスン・ストリート・ブルース)」は、1926年にスペンサー・ウィリアムスが作曲したニューオーリンズ・ジャズを代表する名曲です。タイトルの「Basin Street(ベイスン・ストリート)」は、ニューオーリンズのフレンチ・クォーター近くに実在する通りの名前で、20世紀初頭には多くのジャズクラブや歓楽街が立ち並んでいたことで知られていました。ジャズ発祥の地への郷愁と誇りを込めたこの曲は、1928年にルイ・アームストロングとそのホット・ファイブが録音したことで一躍有名になりました。その後トロンボーン奏者ジャック・ティーガーデンが歌詞を付けて歌唱したバージョンも広く親しまれ、ビング・クロスビーをはじめ多くの歌手が取り上げる時代を超えたスタンダードとなりました。ニューオーリンズ・ジャズの開放的な喜びと、南部の街への深い愛着が一体となった、ジャズの「ふるさとの歌」とも呼ぶべき一曲です。

歌の情景・意味

「ベイスン・ストリートへおいで——あそこは天国みたいな場所さ」。歌い手は、ニューオーリンズのベイスン・ストリートを訪れたことのない人たちに向かって、その街の素晴らしさを語りかけます。南部特有の温かさ、陽気な音楽、人々の笑顔——「エリートたちが毎晩会う場所」「楽園のような場所」という表現には、人種や身分を超えてジャズという音楽の前に皆が集う、あの時代のニューオーリンズへの強い誇りと愛情が込められています。ブルースという言葉が曲名にありながら、この歌には悲しみよりも温かみと誇りが満ちており、ジャズそのものへのラブレターのような曲です。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

Won't you come along with me,
To the Mississippi?
We'll take the boat to the land of dreams,
Steam down the river down to New Orleans.
The band's there to meet us,
Old friends to greet us,
Where all the light and the dark folks meet,
Heaven on Earth, they call it Basin Street.
Basin Street is the street,
Where the elite always meet,
In New Orleans, the land of dreams.
You'll never know how nice it seems,
Or just how much it really means,
Glad to be, yes siree,
Where welcoming arms will enfold you,
Come to Basin Street.

キー:B♭長調(B♭ major) 形式:AABA(各8小節・計32小節)
ニューオーリンズ・ジャズらしい豪快さと温かみを持つ進行で、ブルース的なフラット7thコードと明快なI–IV–V骨格が共存しています。テンポを上げてもくずれない安定感があり、ディキシーランドからモダンジャズまで幅広いスタイルで演奏されてきた懐の深い進行です。

A セクション(1〜8小節)

Bb
Bb7
Eb
Ebm
Bb
G7
Cm7
F7

▶ ポイント:B♭から始まりB♭7(I7)でEbへ向かうブルース的な動きが冒頭の特徴です。Eb→Ebm(長調から短調へ)という半音で変わるだけの変化は、ほんの一瞬影が差すような感覚を生み出す巧みな仕掛けです。後半のG7はCm7へのセカンダリードミナント、Cm7→F7でB♭へ解決するオーソドックスな終止形です。

B セクション(ブリッジ・17〜24小節)

F7
F7
Bb
Bb
F7
Cm7
F7
F7

▶ ポイント:ブリッジはドミナント(F7)を中心に展開するシンプルな構成です。F7→B♭という解決を2回繰り返してから、Cm7→F7で長めにドミナントを引っ張り、Aセクション再現への期待感を高めます。ニューオーリンズ・ジャズらしい素朴で力強い「揺れ」がここに凝縮されています。

1

Hot Five & Seven 1925–1928

Louis Armstrong(ルイ・アームストロング)

1925〜28年録音・編集盤

若きサッチモが率いたホット・ファイヴ/ホット・セヴンの録音を集めた作品集。ジャズの歴史を変えたと言われる、輝かしいトランペットが聴けます。

2

The Benny Goodman Story

Benny Goodman(ベニー・グッドマン)

1955年 / Decca

グッドマンの伝記映画にあわせて録音された作品。往年のヒット曲を、スウィングの王様らしい華やかなバンド・サウンドで楽しめます。

3

Seven Steps to Heaven

Miles Davis(マイルス・デイヴィス)

1963年 / Columbia

新しいクインテットの誕生を告げる、マイルス過渡期の名作。古いスタンダードを、ミュート・トランペットでしっとりと歌い上げています。

4

Basin Street Blues

Jack Teagarden(ジャック・ティーガーデン)

編集盤 / ABM

ティーガーデンの伸びやかなトロンボーンが、ニューオーリンズの街の温かな雰囲気を存分に伝えます。

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Spencer Williams スペンサー・ウィリアムス(1889–1965)

ニューオーリンズ生まれの作曲家・ピアニスト。幼少期からニューオーリンズのジャズ文化に囲まれて育ち、後にシカゴ、ニューヨーク、そてヨーロッパへと活躍の場を広げた。「Basin Street Blues」のほかにも「I Ain't Got Nobody」「Everybody Loves My Baby」「Mahogany Hall Stomp」など多くのジャズ・スタンダードを残している。クラレンス・ウィリアムスとは姓が同じだが血縁関係はなく、ニューオーリンズ・ジャズ黎明期を支えた重要な作曲家のひとりとして今日も高く評価されている。