Jazz Standard — 1931
アズ・タイム・ゴーズ・バイ
| 作詞・作曲 | Herman Hupfeld(ハーマン・ハップフェルド) |
|---|---|
| 制作年 | 1931年 |
| 初演 | 1931年、ブロードウェイ・ミュージカル『Everybody's Welcome』にてFrances Williamが歌唱。1942年の映画『カサブランカ』でDooley Wilsonが演奏・歌唱し世界的に有名となる |
| キー | F長調(F major) |
| 拍子 | 4/4拍子・32小節・AABA形式 |
「As Time Goes By(アズ・タイム・ゴーズ・バイ)」は、1931年にハーマン・ハップフェルドがブロードウェイ・ミュージカル『Everybody's Welcome』のために書いた作品です。初演時は大きな話題を呼びませんでしたが、1942年のワーナー・ブラザーズ映画『カサブランカ』で使われたことで劇的に運命が変わりました。映画の中でピアノ弾き語りの「サム」を演じたDooley Wilsonが静かに歌うこの曲は、世界中の映画ファンとジャズファンの心に深く刻み込まれました。「時が経っても変わらないものがある」というテーマは、戦時中の人々の心情と重なり、当時の聴衆に強く響きました。以来80年以上にわたり、無数のジャズミュージシャンやシンガーに取り上げられ続けている、永遠のスタンダードです。
歌の情景・意味
「月明かりとラブソング、昔から変わることのないもの……」——歌い手は、愛の普遍性を静かに語りかけます。時代が移り、世界が変わっても、恋する男と女の間に生まれる感情は変わらない。「ハグしてほしい」「ため息をついてほしい」という素朴な願いは、人間の本能的な求愛の姿そのもの。クライマックスの「the fundamental things apply / as time goes by(時が経っても、根本的なものは変わらない)」という一節は、単なる愛の歌を超え、人の世の真理を静かに告げる言葉として、聴く者の胸に刺さります。ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンの別れのシーンとともに記憶に焼き付いた、映画史上最も有名なラブソングのひとつです。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
キー:F長調(F major) 形式:AABA(各8小節・計32小節)
クロマティック(半音)な動きを巧みに使ったコード進行が特徴で、流れるようにメロディーを支えます。II–V–Iの繰り返しがありながら、要所で予期せぬ転調を挟むことで、曲に深みと感傷的な色合いをもたらしています。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:F△7(Fメジャー7th)で穏やかに始まり、すぐにD7(♭Ⅶの代理)が登場してGm7(短調側)へ引き寄せます。この「明るさの中にほのかな影」の感覚が、曲全体の感傷的な雰囲気を作り出しています。終盤のDm7→Gm7→C7は美しい下降進行で、Fへ自然に解決します。
B セクション(ブリッジ・17〜24小節)
▶ ポイント:ブリッジはBb(変ロ長調・下属調)へと場面転換し、曲に「広がり」を与えます。Am7→D7という動きはGmへ向かう副次的なII–V(セカンダリードミナント)で、感情の高まりを演出します。最後のF△7→C7でAセクションへのカムバックを予感させる、巧みな構成です。
Casablanca - As Time Goes By and Other...
Various Artists(映画音楽集)
Casablancaサントラ系
映画『カサブランカ』の名場面を彩ったこの曲を含む、往年の映画音楽を集めたノスタルジックな一枚です。
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Herman Hupfeld ハーマン・ハップフェルド(1894–1951)
アメリカ・ニュージャージー州生まれの作詞作曲家。ブロードウェイやティン・パン・アレーで活躍し、多くの楽曲を残したが、生涯で世に残ったのは事実上「As Time Goes By」1曲といっても過言ではない。1942年の映画『カサブランカ』によってこの曲が世界的な名曲となったとき、ハップフェルド自身はすでに作曲家として表舞台から遠ざかっていた。時代の奇妙ないたずらによって、没後も彼の名は永遠に生き続けている。