Jazz Standard — 1934
エニシング・ゴーズ
| 作詞・作曲 | Cole Porter(コール・ポーター) |
|---|---|
| 制作年 | 1934年 |
| 初演 | 1934年11月21日、ブロードウェイ・ミュージカル『Anything Goes』にてエセル・マーマンが初演。アルヴィン劇場(現ニール・サイモン劇場)にて420回上演の大ヒットとなった |
| キー | C major(楽譜原調) |
| 拍子 | 4/4拍子・タイトル曲らしい軽快なリズムと、風刺の効いた歌詞が特徴 |
「Anything Goes」は1934年、ブロードウェイ・ミュージカル『Anything Goes』の表題曲として、作詞・作曲をコール・ポーターが一人で手がけた一曲です。豪華客船を舞台にしたドタバタ・コメディの中で、ナイトクラブ歌手レノ・スウィーニー役のエセル・マーマンが歌い、彼女をスターの座へと押し上げた出世作となりました。同ミュージカルは「You're the Top」「I Get a Kick Out of You」など、後にジャズスタンダードとなる名曲を多数含み、420回という長期上演を記録する大成功作となります。この表題曲は、当時急速に変化していく社会風俗や道徳観を、ポーター得意のウィットと言葉遊びでユーモラスに風刺した内容で、「これも、あれも、何でもアリの時代になった」という痛快な皮肉が、軽快なメロディに乗せて歌われます。今日でも、世の中の変化を笑いながら受け入れる、痛快で都会的な一曲として愛され続けています。
歌の情景・意味
この歌は、急速に変わりゆく1930年代の世の中の風俗や価値観を、軽妙な言葉遊びとともに描いています。「昔は作家が書く言葉のせいで顔を赤らめていた淑女たちが、今では平気でそんな言葉を口にしている」「かつて尊敬されていたものが、今ではただの陳腐なものになってしまった」というように、社会のモラルがどんどん変化していく様子を、皮肉とユーモアを交えて歌います。歌の語り手は、こうした変化に驚きながらも、それを深刻に批判するのではなく、むしろ茶目っ気たっぷりに「だから、今やもう何でもアリの時代なんだ」と笑って受け流します。世の中がどう変わろうとも、結局は誰もがそれを面白がって受け入れていくものだという、軽やかで都会的な視点が、この曲の最大の魅力です。
※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。
Verse(ヴァース)
Chorus(コーラス)
キー:C major 形式:ABAC的な構成
明るく軽快なコール・ポーターらしい進行で、おしゃべりのようなリズムに乗せて言葉を畳みかけやすい作りになっています。
A セクション(1〜8小節)
▶ ポイント:C6からCdim(ディミニッシュ)への移り変わりが、軽快ながらもどこか茶目っ気のある雰囲気を生み出します。Dm7—G7という分かりやすいツーファイブの動きが、歌詞の畳みかけにぴたりと合っています。
B セクション(後半部)
▶ ポイント:列挙される言葉遊びの部分(「速い車が好きなら」「酒場が好きなら」…)に合わせて、和音もテンポよく規則的に移り変わります。最後はC6に落ち着き、軽やかな余韻を残します。
Sings the Cole Porter Song Book
Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)
1956年 / Verve
コール・ポーターの機知に富んだ楽曲群を、フィッツジェラルドが軽妙かつ品よく歌い上げるグラミー殿堂入りの名盤です。
名盤・名演のリンクはAmazonアソシエイト・リンクです。
Amazonのアソシエイトとして、ジャズ・スタンダード事典は適格販売により収入を得ています。
Cole Porter コール・ポーター(1891–1964)
コール・ポーターはインディアナ州出身の作曲家・作詞家で、富裕な家庭に生まれ、イェール大学やハーバード大学で学んだ後、ブロードウェイ・ミュージカルの世界で活躍しました。作詞・作曲の両方を一人で手がける稀有な才能を持ち、洗練された言葉遊びとウィットに富んだ歌詞、そして都会的で洒落た旋律を特徴としています。「Anything Goes」のほか「Night and Day」「I've Got You Under My Skin」「Begin the Beguine」など、数多くのジャズスタンダードを生み出し、20世紀アメリカン・ソングブックを代表する作曲家の一人として今なお高く評価されています。