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Jazz Standard — 1946

Angel Eyes

お気に入り

エンジェル・アイズ

作詞Earl Brent(アール・ブレント)
作曲Matt Dennis(マット・デニス)
制作年1946年
初演1947年、ハーブ・ジェフリーズが初録音。1953年の映画『ジェニファー』でマット・デニス自身が歌唱・ピアノ演奏する場面で広く知られるようになった
キーC minor(楽譜原調)
拍子4/4拍子・AABA形式・複雑で印象的な転調が特徴

「Angel Eyes」は1946年、作曲家マット・デニスと作詞家アール・ブレントによって生み出されたトーチソング(torch song/届かぬ愛を切々と歌う曲)です。1947年にハーブ・ジェフリーズが初めて録音しましたが、本格的に知られるようになったのは1953年の映画『ジェニファー』で、デニス自身がピアノを弾きながら歌う場面が描かれたことがきっかけでした。曲は色彩豊かなハーモニーの移り変わりが特徴で、短調から長調へ、また短調へと巧みに行き来する展開が、ジャズミュージシャンたちを強く惹きつけました。フランク・シナトラは1958年のアルバム『Frank Sinatra Sings for Only the Lonely』でこの曲を取り上げ、酒場で独り佇む男の孤独を見事に演じきりました。さらに1971年、シナトラが「引退コンサート」と位置づけたステージの最後を飾ったのもこの曲でした。エラ・フィッツジェラルドも生涯に4回以上録音し、自身の「お気に入りの曲」として挙げています。

歌の情景・意味

この歌は、酒場を一軒、また一軒とまわりながら、心を裏切った恋人の行方を探し続ける男の物語です。男は自分の恋がもはや笑いものになっていることを自覚しながらも、なおその人を愛し続けています。バーのカウンターに集う見知らぬ人々に「今夜は私が一杯おごろう、自分が笑われ者だから」と語りかけ、苦い自虐とともに杯を重ねます。けれども最後には、また静かに席を立ち、自分にとって「たった一人の女性」を探す旅を続けるのです。タイトルの「Angel Eyes(天使の瞳)」とは、その忘れられない恋人の美しい瞳を指す言葉。優しく見えるその瞳の裏に潜む裏切りと、それでも捨てきれない愛情が、苦く切ない余韻を残します。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

A セクション(1)

Try to think that love's not around
Still it's uncomfortably near
My old heart ain't gaining ground
Because my angel eyes ain't here

A セクション(2)

Angel eyes, that old devil sent
They glow unspeakable things
Standing in a doorway just smiling
Across a room, those angel eyes

B セクション(ブリッジ)

Pardon me, but I gotta run
The fact's uncommonly clear
Gotta find who's now number one
And why my angel eyes ain't here

A セクション(3)

'Scuse me while I disappear

キー:C minor 形式:AABA
短調と長調が複雑に交錯する、ジャズミュージシャンに特に愛される進行です。ⅡーⅤーⅠの動きが短調・長調それぞれの形で頻繁に登場します。

A セクション(1〜8小節)

Cm
Ab7#11
G7
Cm
Cm
Ab7#11
G7
Cm

▶ ポイント:冒頭のCmからAb7#11へ進む部分が、この曲ならではの個性的な響きを生み出します。Ab7#11の上に乗るF#(シャープした4度)が、不安げで物憂げな色彩を加えています。

B セクション(ブリッジ)

Ebmaj7
Dm7
G7
Cm7
Fm7
Bb7
Ebmaj7
Am7b5 D7

▶ ポイント:ブリッジでは一時的にEbmaj7(明るい響き)へ移り、わずかな希望や憂いが見え隠れします。「もう行かなくては」という決意の言葉に合わせて、和音もまた落ち着きなく移り変わっていきます。

1

Matt Dennis Plays and Sings

Matt Dennis(マット・デニス)

1953年 / Kapp

作曲者マット・デニスが、ピアノの弾き語りで自作曲を披露したクラブでのライブ録音。作者ならではの、さりげなく粋な歌い口が魅力です。

2

Chris in Person

Chris Connor(クリス・コナー)

1959年 / Atlantic

クリス・コナーがニューヨークのクラブで行ったライブの記録。クールでハスキーな歌声が、この曲のほろ苦いムードによく合います。

3

Fontessa

Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)

1956年 / Atlantic

MJQのアトランティック移籍第1作。クラシックの技法も取り入れた気品あるサウンドで、バラードを静かに美しく奏でます。

4

Jim Hall Live!

Jim Hall(ジム・ホール)

1975年 / Horizon

ギタリスト、ジム・ホールのトリオによるトロントでのライブ録音。澄んだギターの音色と、メンバー同士の繊細なやりとりが聴きどころです。

5

Angel Eyes

Chet Baker(チェット・ベイカー)

1959年 / Jazz Images

ベイカーの憂いを帯びたトランペットと歌声が、静かな夜の物思いにふさわしい、しっとりとした雰囲気を作り出します。

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Matt Dennis マット・デニス(1914–2002)

マット・デニスはアメリカの作曲家・歌手・ピアニストで、1940年代に数々の名曲を生み出した「シンガー・ソングライター」の先駆け的存在として知られています。トミー・ドーシー楽団の専属作曲家として活躍し、フランク・シナトラのために多くの曲を書いたことでも有名です。「Angel Eyes」のほか、「Let's Get Away from It All」「Violets for Your Furs」など、洗練された都会的なムードを持つ楽曲を数多く手がけました。自身もナイトクラブの舞台でピアノを弾きながら歌う独特のスタイルで活躍し、ジャズシンガーたちから長く敬愛される作曲家です。