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Jazz Standard — 1954

All of You

お気に入り

オール・オブ・ユー

作詞Cole Porter(コール・ポーター)
作曲Cole Porter(コール・ポーター)
制作年1954年
初演ブロードウェイ・ミュージカル『シルク・ストッキングス』(1955年)でドン・アメチーが初演。翌1956年の映画版ではフレッド・アステアが歌い、広く知られるようになった。
キーE♭長調(ジャズ演奏ではB♭長調など移調される場合も多い)
拍子4/4拍子 32小節 ABAC形式

「オール・オブ・ユー」は、アメリカ・ブロードウェイの大作曲家コール・ポーターが1954年に書いたラブソングです。翌1955年にブロードウェイ・ミュージカル『シルク・ストッキングス』で初演され、1956年の映画版ではフレッド・アステアが歌って一躍有名になりました。ポーター晩年の作品でありながら、機知とロマンティシズムが絶妙に同居した歌詞は円熟の極みに達しており、「あなたの北も南も東も西も、すべてが愛おしい」というウィットに富んだ表現は彼ならではの文学的センスを示しています。マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスがこぞって取り上げたことでジャズスタンダードとしての地位を確立し、今日もセッションの場で広く演奏される一曲です。

歌の情景・意味

愛する人のすべてに魅了された主人公が、その気持ちをユーモアたっぷりに語る恋愛賛歌です。「あなたの東の部分も西の部分も、北も南も、全部愛している」——まるで地図でも広げるように愛しい人の全身を言葉で辿っていく、コール・ポーターらしい洒落た趣向が光ります。失恋でも孤独でもなく、愛の充足と高揚を歌ったこの曲は、ジャズスタンダードの中では珍しいほど晴れやかな恋の歌。演奏するミュージシャンの側にも自然と笑みが浮かぶような、明るく温かい空気が全編に漂っています。

※掲載している英語歌詞は原詩の著作権に配慮し、内容を要約・再構成したオリジナルの言い換えです。正確な原詩は楽譜または正規音源でご確認ください。

I love the looks of you, the lure of you,
I'd love to make a tour of you,
The eyes, the arms, the mouth of you,
The east, west, north and the south of you.
I'd love to gain complete control of you,
And handle even the heart and soul of you,
So love at least a small percent of me, do,
For I love all of you.

キー:E♭長調 形式:ABAC(各8小節・計32小節) 拍子:4/4
コール・ポーターらしい滑らかで品のある進行。主調のE♭を中心としながら、Bセクションで短調系のコードが顔を出すことで表情に陰影が生まれます。マイルス・デイヴィスのアレンジでは各コードにテンションが加えられ、一段と色彩豊かなハーモニーに仕上げられています。

A セクション(1〜8小節)

E♭maj7
Fm7
B♭7
E♭maj7
Cm7
Fm7
B♭7
E♭maj7

▶ ポイント:E♭メジャー(変ホ長調)の主和音から始まり、Ⅱm7(Fm7)→Ⅴ7(B♭7)→Ⅰ(E♭)という「ツー・ファイブ・ワン」の基本進行を軸に展開します。ジャズの最も基本的な和音の動きがこの形で、初めてジャズのコード進行に触れる方にとっても理解しやすい構成です。

B セクション(ブリッジ・9〜16小節)

A♭maj7
A♭m7
D♭7
E♭maj7
Gm7
C7
Fm7
B♭7

▶ ポイント:A♭maj7から同名短調のA♭m7へ動く箇所がこのセクションの聴かせどころです。明るい長調の和音が短調に変わる瞬間、音楽にさっと影が差したような色彩の変化を感じてみてください。続くD♭7はE♭への「裏コード(トライトーン代理)」としても機能する、ジャズらしい洒落た動きです。

1

My Funny Valentine

Miles Davis(マイルス・デイヴィス)

1964年録音 / Columbia

ハービー・ハンコックら若手リズム・セクションを擁したクインテットのライブ録音。張りつめた緊張感の中で、バラードからミディアムまで繊細に描き分けています。

2

Concord

Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)

1955年 / Prestige

ジョン・ルイスのピアノとミルト・ジャクソンのヴァイブを中心とした、MJQ初期の代表作。室内楽のように整ったアンサンブルの美しさが聴きどころです。

3

'Round About Midnight

Miles Davis(マイルス・デイヴィス)

1957年 / Columbia

マイルスの代表盤に収録された演奏。ミュートを効かせたトランペットが、都会的で洗練された雰囲気を醸し出します。

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Cole Porter コール・ポーター(1891–1964)

インディアナ州生まれ。イェール大学とハーバード大学で法律・音楽を学んだ後、ブロードウェイとハリウッドで活躍した20世紀アメリカを代表する作詞・作曲家。「Night and Day」「I've Got You Under My Skin」「Anything Goes」など数多くの名曲を残しました。機知と皮肉、ロマンティシズムが絶妙に交差する歌詞は他の追随を許さない独自の世界を形成しており、「詩人作曲家」とも称されます。1937年の落馬事故で両足に重傷を負いながらも創作を続け、「Silk Stockings」(1955年)を最後の傑作として世を去りました。